【「オペラ座の怪人」の推薦文にチャレンジ!】 | 無限回廊幻想記譚 旧館 -アニメ・映画感想-

【「オペラ座の怪人」の推薦文にチャレンジ!】

■オペラ座の怪人とは?■
 フランスのパリにあるオペラ座(別名オペラ・ガルニエ)が舞台となっています。
 このオペラ座は、音楽、舞踏の劇場として、1875年にシャルル・ガルニエの手により建築されました。大理石とブロンズを用いた荘重な外観、赤と金を基調とした観客席、天井にはシャガールの壁画とシャンデリア、という豪華な舞台です。
 ここを中心としてガストン・ルルーにより創作された物語がオペラ座の怪人です。

■アンドリュー・ロイド=ウェバー版とケン・ヒル版■
 原作の怪人は不気味な存在として描かれ、立ち位置もクリスティーヌやラウルよりも後ろにあります。過去数々映画化された中でも、初期の作品はこの為ホラー調が強いものとなっています。
 ケン・ヒル版と呼ばれるものは、"ロンドン・フリンジの鬼才"と呼ばれるケン・ヒルによって作られたミュージカルであり、より原作に忠実で『愛するが故の悲劇』をユーモラスたっぷりに描いています。最大の特徴はその音楽にあり、原作の時代背景に即した19世紀以降半に活躍 したヴェルディ、グノー、ビゼー等のオペラ曲や、オッフェンバック、ウェーバー、 ドニゼッティ、モーツアルトといった耳になじんだ美しい曲が次々に繰り出されます。
 対してアンドリュー・ロイド=ウェバー版はケン・ヒル版よりも後に作られた作品で、ラブ・ロマンス中心として作られています。音楽はケン・ヒル版が既存の音楽を使用したのに対して、こちらはオリジナルの曲を使用している事で知られます。また、てアンドリュー・ロイド=ウェバー版はミステリー色の強い「ケン・ヒル版-オペラ座の怪人-」のオファーを妻のサラ・ブライトマンが断ったことから、サラのためにロマンチックな「オペラ座」を創ったとも言われている。この為、ロイド=ウェバー版は音域がサラに合わせられていたと言われる。

■アンドリュー・ロイド=ウェバー版ストーリー■
 今作はロイド=ウェバー版であるので、そちらについて簡単に説明します。

 1919年フランス・パリ
 荒廃したオペラ座にてオークションが行われている。そこを訪れた老人、ウィルソン子爵。
 オークションが進み、一つの品が出る。それはオペラ座の地下で発見された猿のオルゴールであった。子爵がこれを競り落とすと、次にオークションに掛けられたのは、悲劇の幕開けとなったという、シャンデリアであった。
 修復されたというシャンデリアが吊り上げられ、灯りが燈されると、同時に悲劇の過去が鮮明によみがえる。

 そして物語は過去へ。以降、若干現在と過去を往復する事になりますが、基本的には過去を中心として進められます。現在はモノクロ、過去はカラーと言う逆転の表現が、視聴者に過去と現在を明確に判るようにすると同時に、現在の物悲しさを語っています。

 支配人の交代が告げられる練習中の舞台で、プリマドンナのカルロッタの歌の最中、背景が突然彼女へと落下してくる。こうした『事故』はオペラ座の地下に住む“オペラ座の怪人”の仕業だとみんなが騒ぐ。こうした『事故』が続く限り、は舞台に立てないと役を降りてしまう。その代役としてマダム・ジリーの推薦の元で立てられたのはコーラス・ガールのクリスティーヌであった。彼女はその歌唱力で見事に舞台を成功に導く。彼女の歌の師は父が師の間際に送ると約束した“音楽の天使”であった。
 舞台に成功したクリスティーヌは幼き頃の恋人ラウルと再会する。更には“音楽の天使”が彼女の下へと現れると、彼女を地下へと導く。この地下でクリスティーヌは“音楽の天使”の仮面に隠された醜い素顔を知る事になり、更に“音楽の天使”=“オペラ座の怪人”だと知る。
 支配人たちの元に『オペラ・ゴースト』の名で怪人からの手紙が届き、クリスティーヌを主役にするように脅迫する。これらを無視した結果、舞台にて事件が起きる。これらの仕業から怪人を恐れるクリスティーヌを支えるラウル。二人は再び恋人へと戻る。だが、自分の持つ全てを与えて彼女を歌姫へと導いたにも関わらず、クリスティーヌが自分を裏切りラウルをとった事に、ファントムは深く悲しみ、嫉妬する。
 大晦日の夜に開かれる仮面舞踏会の最中、ファントムがした提案を支配人は受け入れる。
 そしていよいよ舞台の時、舞台上からクリスティーヌを浚うファントムを追い、ラウルも地下へと向かい、最後の決着へと向かう。

 大まかな話はこんな所です。

■映画について
 今回の映画版はミュージカル映画です。なので、ミュージカル映画が嫌いな人は見ない方がいいかもしれません。後、表面的な感情表現されたものしか理解出来ない人も避けた方がいいでしょう。
 ミュージカルをわざわざ映画にする必要があるのか、という方もいますが。あります。それはやはり一つには映画でしか出来ない事があるからです。ミュージカルではやはり舞台装置に限界があります。また、役者の表情をUPで見るのも難しいです。映画の手法を用い、ミュージカルを行うのがミュージカル映画なのです。
 今作では当然ながら皆歌が上手いです。カルロッタのみ、当人の歌ではないようです。当人も歌が上手いらしいので、何故彼女ではなく、舞台の役者による歌を使ったのかは謎。
 ファントムのジェラルドはマスクが取れた素顔もあまり醜いとは感じられませんでした。彼はかなりセクシーで、クリスティーヌとの絡みのシーンなどはちょっとHくさいぐらいに(笑)
 そしてクリスティーヌはラウルへの愛と同時に、ファントムの歌に惹かれ、揺れる様が良く出てます。
 一方でラウルは思い込んだら一直線なタイプですが、どうしても二人の後ろに隠れがちになるところなのですが、今回の作品では良く表現されているな、と感じます。常だとむしろ邪魔なぐらいに思えるのですが、クリスティーヌの為に必死な様子が好感を感じられます。
 更に脇役達も良い味を出し、見所十分な出来栄えといえます。


著者: ガストン ルルー, Gaston Leroux, 長島 良三
タイトル: オペラ座の怪人



アーティスト: Simon Lee, Alison Skilbeck, Chris Overton, Ciaran Hinds, David Langham, Emmy Rossum, Gerard Butler, Halcro Johnston, Imogen Bain, James Fleet
タイトル: The Phantom of the Opera (Original Motion Picture Soundtrack) (Special Edition)