眠っては夢の重圧に押し潰され、
赤裸々にされた心は、
それでも他者を求める。
色川武大『狂人日記』 講談社文芸文庫
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狂気と正気の間を激しく揺れ動きつつ、
自ら死を選ぶ男の壮絶なる魂の告白の書。
太宰治の『人間失格』以上の衝撃でした。
この物語を読んでいる最中は、
ふわふわと夢の中にいるかのようで、
知ってはいけない世界を覗き見ているかのようで、
それでも読むことを止められない、
中毒性のある作品。
眠ってみる夢と、
醒めてから見る幻の描写は、
正直、
怖ろしかったです。
主人公の男は、
理想に辿り着けず、
孤独の闇に堕ちてゆく・・・。
夢中になって読んでいる最中の、
自分の顔を想像することが、
怖ろしい。