【ふふ、暢気だと思わないかいトリート?呪われてるとも知らずにさ】

僕はテレビに、トリートはソファーに座って、男と女を眺める。
嬌声を上げながらまぐわう、快楽を貪り合っている男と女。
僕とトリートは人間ベースに造られたから、まぁ分からないことはない。
でも、ただ快楽を貪るだけの行為はねぇ。

【ええ、兄様。哀れなものですわね。二股なんてするから。うふふ、自業自得ですわ。私達のように、深く愛し合わないなんて、可哀想な人達だこと。男は、ついでに食べますの?】

【うん。勿論】

男はおまけ。男って可哀想な生き物だね。二股してもバレないと思ってるなんて。女の方が勘が鋭い上に、恐ろしい生き物なのに。

【身体の方は、蟲達に食べさせてあげましょうか?】

【そうだね。トリートはどっちの魂食べたい?】

【そうですわね。たまには、男の魂でも食べましょうかしら】

【分かった。さぁ、楽しい楽しい食事の時間だよ】

僕とトリートの影から、ざわざわと浮かび上がる。夥しい数の、蟲達の陰。
人間達に虐げられた、僕達の可愛い蟲達。

【さぁ、食事の時間だよ。貪ってやれ】

嬉しげに揺れる、蟲達。
陰が、男の影に、触れる。





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