透明人間

次に目を開けた時、俺は死んでいた。
後頭部を殴られ、包丁で何度も刺された俺の身体は、見るも無残に血塗れ。
目を見開いて、口はだらしなく開いてる。
苦痛に歪んだ顔。これが、生前の最後の顔。
ごめんなぁ親父。親父より先に逝っちまって。
犯人は一目瞭然。血の着いた灰皿を持ってる浮気相手と、血塗れの包丁を持った俺の彼女。
全く、酷い話だ。俺の家でよろしくヤってたのはてめぇらのくせに、逆上した挙げ句、殺されるなんてな。
浮気してたのは知ってたけど、まさか家に連れ込むなんてな。
あの野郎、同棲してるの承知でヤってたのか？
だとしたらいい度胸だな。
さぁて、これからどうすっかな。
死んでるから、幽霊って訳だ。
仕返し、してやろうか。