楠木正成公の「非理法権天」

「非理法権天」は楠木正成公の旗印とされています。
「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず」

意味は、非道は道理にかなわず、道理も法律にかなわず、法律も権力にはかなわず、権力も天の命ずる所にはかなわないというものです。非道には道理で返し、道理には法で返し、法には力で返し、力には天で返す。

幕府が一時的に権力をふるっても、天神(アマツカミ)から天津日嗣(アマツヒツギ)を受け継ぐ日の御子（天皇）にかなうものではありません。日本では、皇位は天壌無窮であり、天の命ずる所で限りなく続いてゆきます。

意味もさることながら、「非」から始まるその漢字の印象に、見る者を驚かせる、強烈な違和感を与える文字列です。

「理法に非ず」とも読んでしまいそうなためでしょうか。

滝川征次郎博士は中国の古典では見当たらないと述べておられ、日本で造られたと考えられます。

大東亜戦争では、戦艦大和にもこの旗印が使われました。その旗印から、尋常ではない覚悟が伝わってきます。

私は昔、父からこの言葉を聞きましたが、日本の法諺は歴史が長く奥が深いです。