「春眠暁を覚えず」という言葉があるが、春の眠りというのは心地よいものである。
私の場合は「春眠何も覚えず」ではあるが、面白い夢を見たので書いてみようと思う。
薄暗い雑貨屋さんで前の職場の37歳の新婚の人妻と何故だかいちゃついてた。
ほとんど話したことない人だったのだけれど、とても美人で28歳くらいかと思ってた。
デートのようなシチュエーションで、手を繋いで部屋のインテリアを話し合ったりとか、お揃いのマグカップはどれを買おうかとかそんな話をしていた。
その後、少し疲れたので店内にある二人掛けのソファに腰を下ろし、彼女の肩を抱いた。
「俺とこんなことしてていいんですか?」
「いいのよ」
「旦那さんが居るんじゃないんでしたっけ?」
「居るけど、まだ帰ってこないし」
「愛してるんじゃないんですか?」
「普通に好きよ」
と、不毛な会話をしばらく繰り返していた。
旦那さんに対する優越感に浸ってみたり、嫉妬して首筋に接吻したり。
店内なので他にもお客さんは何組か居て羨ましそうに私達を見ているように感じた。
私は幸せを感じていたが、夢のような時間は夢の中でも長くは続かないものである。
彼女は「18時には旦那が帰ってきますので」と言い残して去って行った。
一人残された私は、呆然としながらソファの上に居た。
すると、お忍びで来ていたAKB48の前田敦子ちゃんと目が合った。
「久しぶり、どうしてこんなところに居るの?」と話し掛けられた。
私はデートが急に終わってしまったことを前田敦子ちゃんに伝えた。
「あっちゃんは何してるの?」と質問した。
どうやら同級生の設定らしい。
「私は服を買いに来たんだけど、そうだ貴輝くん、似合ってるか見てくれない?」
「あ、うん、俺でよければ」
「じゃあ試着室の前でちょっと待っててね」
「うん」
「お待たせ、このスカートどうかな?」
「似合ってると思うよ」
「ほんとに?もっとよく見てよ」
「えっ、あっ」
私は前田敦子ちゃんに試着室に引きずり込まれてしまった。
前田敦子ちゃんは私に何度も接吻してきた。
「恋愛禁止」の文字がと頭を過ったが、彼女の華奢な背中を抱き締めてしまった。
そして、彼女を一生守ると決めた。
気が付くと、試着室のカーテンも雑貨屋さんも無くなっていて、周りには中学校、高校、大学の同級生や先輩後輩が私達のロマンスを眺めていた。
場面が少し飛んで、中学校の同級生達が「煙草を吸うか吸わないか」を真剣に話していた。
「俺は吸う」
「俺は吸わない」
そんな意見が飛び交った後、当時「ゲロ」というあだ名の冴えない奴が「俺は菜々緒には煙草を吸ってることは知られたくない」と言った。
「確かになあ」と妙に納得して私は目を覚ました。
あんなことやこんなことをした人妻も前田敦子ちゃん私の横には居なかった。
夢を見ることで私は私の人生を補填しているのである。