妻にはFと結婚しろ、子どもを作れと言われましたが、
じゃあそうします、となるはずもなく
関係に区切りをつけることにしました。
僕が本音ではこの関係を終わらせたいと思っていたことは
Fも知っていましたし、彼女も内心では同じだったと思います。
僕の家庭が壊れたことに自責の念もあったようでした。
妻にもFにも、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
月並みな物言いですが、そうとしか言いようがないのです。
Fはグラフィックデザイナーとして働いていますが、
かねてから地元に戻ってくるよう親に言われていたそうで、
亡くなった母の「遺言」でもあり
最後に会ったとき、これを機に帰るつもりだと話していました。
決して許されない関係でしたが、
僕たちはある時期確かに互いを必要としていました。
心に渦巻く苦しみを、やわらげるために。のがれるために。
だからといって自分たちを正当化するつもりなどありません。
どんな理由があろうと、苦しかろうと、
いけないことだったとわかっています。
あのとき、ほかにどうしようもなかった。それだけです。