不妊治療当時に僕が所属していた部署には

パートさん含め9人程度が在籍していましたが、

皆結婚して子どもがいました。

 

部署内の雑談のなかで子どもの話が出ることも多く、

こういった会話は、特に不妊治療が難航してからは

かなり気になるようになりました。

 

あるとき一番若い部下が、顧客と赤ちゃんの話をしていて

「生後半年くらいだと寝返りができるようになりますね」

と言っているのが聞こえました。

 

生後半年だと寝返りができるようになるのか、と思いました。

 

若手ゆえ至らないところも多く、

普段あれこれ指導している部下でさえ知っていることも自分は知らない。

この先、人として何かが欠けたまま生きていくのだろうか。

こういうことを知る機会を得られないまま終わるのだろうか。

 

不妊治療のことは職場には言っていませんし、

仮に言ったところで同僚に気を遣ってもらいたいとは思いません。

 

しかし、子どもの話で部署内が盛り上がると、

僕はそこに居場所を見出せず、そっと場を外すようになりました。

 

家庭でも職場でも、孤独感が深まり、心が蝕まれていくようでした。