母が亡くなって胸に去来したことは、
孫を抱かせてあげられなくて申し訳ないという深い後悔です。
妊娠・出産に関して直接何かを言われたことはありませんでしたが、
初孫の誕生を望まない親などいないでしょう。
すぐ子作りするべきだった、
という思いはもちろんありましたが、
これは夫婦で決めた約束だから、と
その気持ちは飲み込むしかありませんでした。
母の死は、子どもをもうけることについて
ぼんやりとした希望しか持っていなかった僕にとって
はっきりとした動機付けになりました。
母は突然亡くなった。
父だってそうならないとは限らない。
自分で思っているよりも、
ずっと時間は少ないのかも知れない。
しかし、妻の事情や、
言いたいことをなかなか言えない
僕の悪い部分もあって、
踏み込んだ話し合いはできないままに
月日は過ぎてゆきました。