今日は歌謡曲を聴いてみた。
素晴らしいの一言です。スピーカーは変えてないもののアンプだけで
これほどの違いを見せるとは!
布施明の古いレコードを聴いているが、これまで聞こえなかった
布施明の歌うときの息遣いまで聞こえてきます。
声の抑揚の幅が広がり、まるでそこで歌っているようなリアル感が
迫ってきて気持ちがいい。
おそらく、ダイナミックレンジが広がったのと、音の立ち上がりがシャープに
なり、ピアニッシモからフォルテシモまでの変化があっても一気に音が立ち
上がるのでリアル感が増すのだろう。
また、かといって音が細くならず、適度の音調がある。
ただ、ボリュームは少し上げてやる必要はあるようです。
時計の針で10時から11時くらいがこのアンプに適しています。
しかし、音量をあげても以前のD707GExtraのように音だけが大きく
聞こえてくるわけではないのでうるさくないです。
これが高級アンプの特徴です。ラックスマンもそうでした。
ラックスマンはものすごく優雅な音を出しますが、α607NRAのような音の
立ち上がりに欠けるので、ダイナミックな響きが得られず、全体として
おとなしい印象を受けます。そのため、音はいいけれど迫ってこないという
迫力感が少ない音です。
また、ダイヤトーンのスピーカーの影響もあるだろう。
昔購入したDS-38Bではこのような音は出ていなかった。
音はものすごく正確できっちりしている。しかし感情のない正確さなので
つまらない音です。
DS-77HRXは高域に独特のキャラクターがあり、音離れの良い音です。
ダイヤトーンの技術者が話した逸話によると、ダイヤトーンのスピーカー
はどうしたら音を前にせり出したように聞こえさせるかと言う点に工夫が
あり、スピーカーの音離れの良さと同時に前方に向いた音になっているという。
後期のダイヤトーンはそこに工夫があるようです。
これをダイヤトーン(現三菱エンジニアリング)では以下のように説明している。
1.音の前後感演出
市場で大勢を占めているスリムトールボーイ形のキャビネットを有するシステム
はどちらかと言えばスピーカーの後方に音場を創り出すことが得手ですが、前方
に現出させることはまず出来ません。
実はDIATONEでも同様で、特にドーム形中音ユニットを使用する場合になかなか
うまくいかなかった経験があるのです。DIATONEの設計者達がオフタイムでも必ず
話し合うテーマでありました。「どうやったら前も後ろも演出できるのだろうか」
実は長年の宿題とも言うべき内容なのでした。
ホーン形スピーカーは音の前方向への「飛び」は抜群ですが、後方は苦手です。
そこで直接放射型のドーム形スピーカーを用いながら前方に少しだけ負荷をかける
フロントロードを採用しました。これは次の「 2.音響負荷 」に関連します。
2.音響負荷
ドーム形中音ユニットは小さめから通常の音量の際には破綻無く再生出来ますが、
特に大きな音量になると入力された電気のエネルギーを空気の振動に変換しきれな
いような音の傾向になりやすく、あえて言えば振動板に音がへばりつくような感じ
に聞こえていました。さらにドーム形ユニットは同様の理由からか金管楽器のホー
ンの再生が不得手で「らしさ」が出難かったのです。
結果的に特性としては元来指向性の広いドーム形スピーカーにフロントロードを
加えて指向性をやや絞込み前方への音放射を優先することにしました。
http://diatone.mee.co.jp/community/eng.html
こうしたことがダイヤトーンの音作りの基本になっているようです。
できれば、受注生産のDS-MA1を一度は試聴してみたいものです。
ただし、2台で210万円するので、購入は厳しいでしょう。