上野賢一郎厚生労働相(左)に診療報酬改定に向けた答申書を手渡す中央社会保険医療協議会の小塩隆士会長=東京都千代田区で2026年2月13日午前10時26分、肥沼直寛撮影
物価高騰と賃上げ対応で初診料、再診料ともに引き上げ 診療報酬改定
厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会は13日、2026年度診療報酬の改定内容を答申した。物価高騰を受け「物価対応料」を新設するほか、医療従事者らの賃上げに向け、初診や再診、入院時の診療報酬を引き上げる。継続的に賃上げに取り組んでいる医療機関を受診した場合、実質的な初診料は現行の2970円から190円、再診料は同770円から70円上がる。3割負担の場合、それぞれ57円、21円の負担増となる。 【図解】診療報酬改定のポイントは
診療報酬は原則2年に1度改定される。病院の7割が赤字とされる中、多くの医療機関で経営を圧迫している物価高や人件費の高騰への対応が焦点で、政府は昨年末の予算編成で、医師の技術料や人件費にあたる「本体部分」を30年ぶりの高水準となる3・09%引き上げると決めた。今回は、配分の詳細を固めた。
賃上げに向けた「ベースアップ評価料」は、これから取り組む医療機関は初診で110円、再診で20円引き上げる。既に取り組んでいる場合は、初診170円、再診40円増と差を設ける。入院では10~2500円の引き上げで、これまで医療職だけだった対象を事務職員らにも広げる。夜勤職員を確保するため、収入を夜勤手当の増額に充てるなど、柔軟な運用も認める。賃上げに取り組む医療機関は、27年度からこの評価料を倍増するなどの仕組みも設けた。
入院基本料も見直し、利用する病棟や日数に応じ、1日当たり710~3240円引き上げる。厚労省はこれらを原資に、毎年3・2%の賃上げを目指す。看護助手や事務職員の賃金は5・7%上がる見通しだ。 物価高騰への対応では、「物価対応料」を新設。外来・在宅医療では初診、再診時とも20円上乗せする。入院医療では病棟により、1日当たり130~840円引き上げる。物価上昇などが続いているため、27年度に対応料を倍増させる予定だが、経済情勢が大きく変動した場合は調整する。
このほか、入院時に患者が支払う食費は1食あたり40円、光熱水費は1日当たり60円引き上げる。一般的な所得がある人の自己負担額は、食費で550円、光熱水費で430円になる。
地域に不可欠な医療を提供する急性期病院などの経営基盤を強化するため、病院が担う機能を評価する入院基本料も新設。救急搬送件数が年間2000件以上、全身麻酔による手術件数が年間1200件以上の病院が算定できる「急性期病院A一般入院料」は、患者1人に対して1日当たり1万9300円が加算される。診療報酬は6月に改定される。
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