ご相談で、親御さんから「子供の良くない行動に対して何度注意(叱るなど)をしても、言うことを聞いてくれない。よくない行動がなおらない」というご相談がよくあるので

 

今回は叱る、怒る、怒鳴る、叩く=嫌悪刺激(弱化子)について説明します。

 

子育て中の親御さんや会社の上司やスポーツの指導者の方は必見です。

 

行動分析学では、「弱化」という定義があります。
 
これは、ある行動の直後に、嫌なことが生じたり、好きなことが取り上げられたりすると、その行動の生起する頻度が減るというものです。
 
例えば
 
子供(長男)が妹に意地悪をしたり、叩いたりして妹を泣かす行動を頻繁にするので、親が長男に対して嫌悪刺激(例えば、叱ったり、叩いたり)すると、その直後は長男の妹に対する意地悪や叩くなどの行動をやめるのですが、長男は今でも毎日妹に意地悪や叩くなどの行動が続いている。

 

こんな事例は、多くのご家庭であると思われます。

 

ここで質問です。

 

親が長男に叱りつけたり叩くことは、長男の困った行動に対する弱化子になっているでしょうか?

 

答えは「×」です。

 

親御さんや会社の上司、スポーツの指導者などは子供や部下や選手が困った行動や間違った行動、不適切な行動をしたときに「やめてもらいたい」「なおしてもらいたい」「しかっかりしてほしい」という思いで

 
叱る、怒る、怒鳴る、叩くなどをしていると思います。
 
弱化の定義に当てはめると、困った行動や間違った行動の直後に、叱る、怒る、怒鳴る、叩くといった「嫌」「罰」の刺激を与えているので
困った行動や間違った行動の生起頻度は減っていくはずです。
 
しかし、事例の長男は、親から叱られたり叩かれたりしても、妹に対する困った行動は毎日続けいています。
 
ということは、長男にとって、親の叱る・叩くという行動は「嫌」「罰」として機能していないのです。
 
行動分析学のもののとらえ方は世間一般的なとらえ方とはちょっと違います。
 
一般的に、叱られる、怒られる、怒鳴られる、叩かれることは「嫌」なことで「罰」という好ましくないものに見えたり、嫌悪的に見えることでも

行動分析学では、叱る、怒る、怒鳴る、叩く行為が、相手の行動を減らすための弱化の定義には即時できません。
 
相手の行動が将来的に弱まった・減った時に初めて叱る、怒る、怒鳴る、叩く行為が弱化子になっていると判断することができるのです。
 
なので、事例の件では、親の叱る・叩くをしても長男の困った行動減ることなく続いているので、親の叱る・叩くという行為は弱化子ではなく、強化子(メリット=好きな刺激)というとらえ方をします。
 
親が叱る・叩くことで注目を得られたり、叱られたり叩かれたりするよりもっと嫌なことをしなくて済んだり、欲しいものが得られていたり、活動することができているのかもしれません。
 
ここで、考慮すべきもう一つ重要な点は、どうして親御さんや会社の上司、スポーツの指導者は、子供や部下、選手を厳しく叱ったり、怒鳴ったり、叩いたりしてしまうのでしょうか?
 
厳しく叱ったり、怒鳴ったり、叩いたりした直後に、子供や部下、選手は一時的に困った行動や不適切な行動をしなくなるからです。
 
一時的にでも相手の行動を抑制することができた、行動をコントロールすることができたというメリットが得られたり、困った行動や不適切な行動(ご両親や上司、スポーツ指導者にとって嫌悪刺激)だったものがなくなるので、叱る・怒鳴る・叩くなどの行動を行使することが強化されているのです。
 
なので、「何度、注意(叱っても、怒鳴っても、叩いても)しても言うことを聞いてくれない」とか「ぜんぜんやめてくれない」とあきれたり、愚痴をこぼされるときは、ご自分の叱ったり、怒鳴ったり、叩いたりする行動が、相手にとってはメリットとなっていると認識してください。
 
では、どうすればよいか?
 
困った行動、間違った行動、不適切な行動を

 

「やめてもらいたい」「なおしてもらいたい」「しかっかりしてほしい」という思いで

 
叱る、怒る、怒鳴る、叩くなどをしているので
 
望ましい行動ややってほしい行動を具体的に伝える・説明して実際に相手にやってもらってください。
 
その時、あなたの望む100パーセントの行動はできないかもしれませんが、少しでも望ましい行動ややってほしい行動をやろうとして努力を認めて、ほめてあげてください。
 
そうすれば、徐々に困った行動や間違った行動や不適切な行動は減っていきます。
 
 
なかには「私は叱る、怒る、怒鳴る、叩くをした後に、望ましい行動ややってほしい行動を具体的に伝える・説明してます」と言われる方がいます。
 
確かにそうしています。
 
しかし、ご本人は気づいていない点が2つあります。
 
一つは、叱る、怒る、怒鳴る、叩くをしたときと同じ強い口調で望ましい行動ややってほしい行動を伝えていることです。
または、叱る、怒る、怒鳴る、叩く→強い口調で望ましい行動ややってほしい行動→ネチネチと叱り続ける。
 
相手は叱られている、怒鳴られている、叩かれている延長線上のセリフにしか認識できないので、望ましい行動は生起しません。

望ましい行動ややって欲しい行動をしても「ほめる・認める・感謝する」を与えていない。

親御さんや上昇や指導者にしてみれば、望ましい行動ややって欲しい行動は「やって当たり前」な行動と認識しているからです。

でも、子供や部下や選手は、叱られる、怒鳴られる、叩かれる行動が「当たり前」の行動として定着しているので、その行動から親御さんや上昇や指導者がいう望ましい行動ややって欲しい行動を生起させることは大きな変化なので「当たり前」ではないのです。

そこの認識が間違っているので、具体的に望ましい行動ややって欲しい行動を説明しても、子供や部下や選手の行動が変わらない原因です。

最後に、叱る、怒鳴る、叩くことで、
子供や部下や選手が言うことを聞いているは場合は、困った行動や不適切な行動が間違った行動やいけない行動と認識したことで改めた訳ではなく、親御さんや上昇や指導者が怖いから行動を抑制しているだけなので、親御さんや上司や指導者がいないところで 困った行動や不適切な行動をしたり、他人に対してしたり、抑制が効かなくなって爆発的に困った行動や不適切な行動が生起して手におえなくなったり、もしくは自発性がなくなり学習性無力症、セルフネグレクト、指示待ち人間になるのでご注意下さい。