あなたの口から発せられる言葉は「かたちとして見えますか?」
見えませんよね!!
言葉は風のようにふき流れて、音として耳に入ります。
耳から入る情報を一時的に記憶にとどめること(作業記憶)は難しいです。
相手が発した言葉に「注意」を向けておかなくては一時的に記憶にとどめておくことはできません。
他のことを考えていたり、していたり、ぼんやりしているときは相手の話を聞きそびれてしまいます。
脳の変性をきたしている認知症の症状がある人の場合は、なおさら困難となります。
一度に複数のことを言われると、
①そのなかの1つしか記憶に残らなかったり、
②最後の言葉だけしか残らなかったり、
③一つの言葉に意識をむけたことで、残りの言葉は聞こえなくなることもあります。
そこで認知症の症状がある人がどの程度、言葉の情報理解最小語数があるのか確認しておく必要があります。
情報理解最小語数とは、ある情報を伝えるのに必要なもっとも少ない語数です。
私たちが言葉を話すときにはたくさんの語彙を使いますが、そのうちのいくつかは、相手が内容を理解するには必要がない語彙も含まれています。
例えば、わたしがコンサルテーションに行く施設でよく耳にする声掛けの1つに、介護士さんが認知症の症状がある人に
「〇〇さん、今日は14時からお風呂があるから、お風呂の準備をしてお部屋で待っててくださいね」と伝える場面があります。
そうすると介護士さんは「〇〇さん、/今日は/14時/から/お風呂/が/ある/から、/お風呂/の/準備/を/して/お部屋/で/待ってて/くださいね」
と認知症の症状がある人に17語で言ったことになります。
この17語を聞いて、言われた認知症の症状がある人が本当に理解しなければならない言葉は「14時」「お風呂」だけです。
※ちなみに「お風呂の準備」とよく言いますが、何を準備すればいいのか理解できないので、具体的に何を準備するのか伝えてあげる必要があります。
具体的に「着替えの上着」と「ズボン」「肌着」と「パンツ」の4つの準備と伝えてあげる必要があります。
そうすれば理解する言葉は「14時」「お風呂」「上着」「ズボン」「肌着」「パンツ」「準備」の6語なので、その他の言葉は理解する必要はありません。
※施設なので自室に居なくても別に支障はありませんが、在宅の方は「自宅に居る」が理解できていないといけませんね。
情報理解最小語数は何語までいちどに理解できるかは、人によってまちまちです。
介護者は、要求や指示が認知症の症状がある人の理解できる言葉の能力を超えていないかを、確かめる必要があります。
だから、認知症の症状がある人に何かを伝えるときは
前回のブログに書いた注意をしっかり向けた状態にしたうえで
①語彙は最小限
②理解してほしい語彙に抑揚をつける
③複数のことを伝える場合は、メモに短文(単語)
そうでないと、当人はどうしてほしいのか? 何を言われているのかがまったく理解できなくなってしまうので気を付けましょう。
例)「〇〇さん、14時に お風呂です」 「着替えの上着、ズボン、肌着、パンツの4つ準備してね」と伝えると同時に
それでも忘れてしまうのが認知症の症状がある人の特性です。
だから、④「私が伝えた言葉はどこかに消えちゃうさ!! ケセラセラ!」という認識と「その伝え方では理解や記憶に留めておけないので別の方略を検討しよう」と探究心をもって接してください。
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