認知症の症状がある人の介護者は程度の差はありますが、介護者にとって悪影響を及ぼすわけでない大げさな話、事実と違う話、言い間違い、勘違いなど(非転嫁型誤認行動)を聞き流せば済むことなのにそれができずに否定、指摘、注意、是正をしてしまうのは何故か?。
認知症の症状がある人の非転嫁型誤認行動に対して、過剰に反応して否定、指摘、注意、是正をするのが習癖となっているのです。
これは間違い指摘反射が条件付けられているからです。
間違い指摘反射が条件付けられていると、大げさな話、事実と違う話、言い間違い、勘違いばかりに目がついてしまいようになります。
そして過剰に反応してしまうのです。
ところが、介護者自身は自分が過剰反応行動の習癖があることなど考えたこともないはずです。無自覚な人が多いのです。
または、自覚があっても「些細なことではない。問題があるから言っているんだ」と言われます。
無自覚、自覚問わず過剰反応行動をすれば短期的には効果があるかもしれませんが、長期的には問題がさらに悪化してしまうことは研究で明白とされています。
そこで今回は過剰反応行動の癖を直すために、習慣逆転法というエクササイズを実践します。
習慣逆転法とは習癖行動(例えば、爪かみ、抜毛、チック、吃音など)の頻度を減らすために用いられる技法です。
過剰反応行動の癖に対する習慣逆転法は5つのステップで構成されます。
◎ステップ1: 癖の自覚化
①自分が過剰反応行動の癖があることを自覚することが重要です。
②過剰反応行動が生じる、認知症の症状を抱える人の非転嫁型誤認行動で強い情動を感じるものからあまり嫌悪を感じないものまでの表をつくります。
③過剰反応行動をしたデータをとってください。
◎ステップ2 : 癖と反対方向の行動(拮抗行動)
①拮抗行動とは、癖と同時にできない行動であることが大事なので、あなたは認知症の症状がある人の些細な言動に対して、過剰に反応して否定、指摘、注意、是正を声に出しているので、口を真一文字に噤んでください。
◎ステップ3 : リラクセーション
認知症の症状がある人の非転嫁型誤認行動が、あなたの情動(苛立ち、嫌悪、怒り)がきっかけとなり過剰反応行動をしてしまいます。リラクセーションはこのきっかけとなる情動を軽減させるのに効果的です。
①10秒呼吸法(鼻から1・2・3で息を吸い込み、4・5で息を止めて、6・7・8・9・10で息を吐く)
②両手を5秒間、8割程度の力で握りこぶしをつくり、すぐに指を開いて力の圧が抜けていくのを10秒間実感してください。これを5回繰り返します。筋肉の緊張と弛緩(リラックス)を繰り返して意図的にリラックス状態をつくります。
◎ステップ4 : 代替行動
①否定する、指摘する、注意する台詞を声に出してしまう反応を妨害して、代替行動として「そうよ」「そうね」「そうなんだ」「大丈夫、大丈夫」という台詞を声をだしてください。
◎ステップ5 : イメージ予行練習
①自覚化で作成した非転嫁型誤認行動の階層表で、強度の低い項目らからイメージしながら習慣逆転法を行います。
これを繰り返し行い、過剰反応行動はせず代替行動でコントロールできるイメージができたら、階層表を一段あげて、同じように取り組みます。もしイメージ練習が苦手という方は、次のような方法もあります。
①スマホやビデオ利用して認知症の症状がある人の非転嫁型誤認行動の場面を録画したのを視聴しながら行ってください。
②家族や知人の声で非転嫁型誤認行動を音声録音したのを聞きながら行ってください。
③家族や知人・同僚などに協力してもらい非転嫁型誤認行動を疑似してもらうのもよいでしょう。
※注意点として、ふざけたり恥ずかしがって行わないようにるすこと。
🔺日常的に認知症の症状を抱える人と関わりがある場合は、イメージ練習だけではなく実践で習慣逆転法を行うことになります。
実践ゆえにどの場面で非転嫁型誤認行動が発生するか読めないためはじめのうちはうまく対応できませんが、意識して取り組むことで徐々にコツがつかめてきます。
⏹️指示や促しに対して相手の反応や動作が鈍く遅くて、じれったく感じて苛立つ場合も、反応や動作が鈍く遅さに馴れることが必要となります。
①録画したテレビ番組たまはネット動画をスロー再生で観ながら行います。
視聴して、じれったくて苛立ちを感じながら習慣逆転法(①~④)行ってください。
楽しみにしているテレビやネット動画で苛立ちを感じるスロー速度で観ることが肝です。
過剰反応行動(否定、指摘、注意、是正)の習癖を習慣逆転法で直す目的は、認知症の症状がある人の話をしっかり聴くためです。
その際、会話の端々に非転嫁型誤認行動(大げさな話、事実と違う話、言い間違い、勘違い話など)が出てきますが、いちいち反応しない行動を身につけるのです。
結果的には認知症の症状がある人は、あなたに自分の話を聴いてもらえている。
自分の主張を受け止めてくれているという感覚につながるので、感情をざわつかせ無用な言い争いは防げるのです。
これは育児をされている方にも有効なエクササイズです。