認知症の症状を抱えた人の行動上の問題や興奮・不穏が頻繁に起きている対応に苦慮されている方は是非、タッチケアを行って見てください。
タッチケア(触れる治癒力)は皮膚感覚に人が温かく心地よい刺激を与えることで、脳に良い影響を与えるスキンシップの方法です。
安心感や痛みを軽減する背景には「オキシトシン」の分泌が深くかかわっています。
オキシトシンとは愛情ホルモン、癒しホルモンとも呼ばれ、脳の視床下部で産出され、下垂体後葉から分泌されます。
ストレスや不安を軽減することが研究によって明らかにされています。
具体的には肌に触れられることで、触覚が刺激を受け、オキシトシンが血液中にも分泌されます。
それが体内に広がることでストレスや不安を和らげるのです。また、脊髄にある痛みを脳に伝えるゲートを閉じる働きもあり、痛みを感じにくくさせることも分かっています。
さらに、タッチケアを施す側にもオキシトシンは分泌され、相手との相互の信頼感が生まれます。
【 タッチケアのメリット
①身体的利点(筋緊張と筋弛緩の改善、呼吸機能の改善、関節の可動域の改善、痛みの感覚の緩和、睡眠の質の向上、適切なホルモンの生成、身体感覚が養われる、触覚の過敏性の緩和、身体が温かくなる、血圧や脈拍が安定するなど)
②心理的利点(ストレスの軽減、不安や恐怖の緩和、ストレス耐性の強化、自尊心が育つ、相手(タッチケアをしてくれる人)に好意を持つ、攻撃的行動が減るなど)
③言語的利点(言葉が理解できない人や言語を発することが困難な人でも触れ合うコミュニケーションとなる)
タッチケアを実施するときの基本は次の2つです。
①相手から触れられることの許可を得る
「(身体の部位)にさわってもいいですか?」「マッサージしてもいいですか?」「タッチしてもいいですか?」表現は自由です。相手に安心感を与え、伝わる表現で話してください。
あなたと認知症の症状を抱えた人との信頼関係が大切です。
②椅子やテーブル、横になるなど楽な姿勢をとってもらいながら、軽すぎず押しすぎずの力加減で1秒間に5センチ程度の速さでタッチしてください。
マッサージなどの圧迫施術ではないので力強く押さないようにして下さい。
また、行動上の問題をしているときや興奮しているときに、落ち着かせる目的でタッチケアは行わないようにしてください。
理由は、初めは違う目的で行動上の問題などをしていたのが、タッチケアをしてほしいから行動上の問題や興奮をすることを身に付けてしまうからです。
認知症の症状を抱えた人が落ち着いているとき、ぽつんとひとりでいるとき等に、声を掛けてタッチケアをしてください。
即効性はありませんが、じわじわと行動上の問題や興奮する頻度が減って行きます。
