困った行動の改善相談を受けるなかで、認知症と診断された人が、家族と暮らしていても疎外感や孤独感を抱いている方が非常に多いです。
どうしてか?
夫婦関係・親子関係等、家族との関係性が認知症と診断される前と後で関わりの内容が大きく変っていくのが大きな特徴です。
家族特性は大きく分けて4タイプに分けられます。
①「認知症だから言ってもわからない」と、本人に積極的に話しかけない、話しかけても見当違いの返答が返ってくると、何気ない会話自体が減っていきて関わりが希薄になるタイプ。
②本人の些細な失敗や誤認に対して細かく指摘・叱責が常態化するタイプ。
③認知症の悪化を防ぐため、認知症予防のために良いと言われている脳トレや運動・健康食品等を本人の意思を汲まず強要し、「頑張って」と過剰な励ましをするタイプ。
④まだ十分に家事の能力をもっているのに家庭内の役割を取り上げてしまうタイプ。
※①~④が単体だったり複合していることもあります。
家族特性①②③④タイプともに共通しているのが、夫や妻・父や母が認知症と診断されたときに「よりにもよって認知症になるなんて」「介護地獄がはじまる」「自分たちの生活が脅かされる」と嘆き、本人を「認知症の人」「できない人」扱いをしてしまっているところです。
このような家族の中にいると本人は疎外感や孤独感を強く抱くのです。
孤独や疎外感を抱く中で、
家族の愛情要求(注目要求)のためにとった行動が、結果的に家族の怒りだったとしても、本人にとって無視されるより怒りでも自分に振り向いてくれた(欲しかった)「愛情確認」と思えば、その行動は繰り返されます。
常態化された家族の指摘・叱責や、よかれと思って言っている励ましや、本人の意に反する脳トレ等、認知症予防の取り組みから逃れる(回避逃避要求)のため、とった行動の結果逃れたり回避できれば、その行動は繰り返されます。
例え、それが家族にとっては不適切な行動であったとしてもです。
個別相談をしたときに、このような話をするのですが、多くの家族が「それじゃ、問題行動が生じているのは、私たちが悪いんですか」「問題行動に振り回されながら一生懸命介護をしているのに」と憤慨します。
もちろん家族は無視をしたり、叱っていたり、励まし、役割を取り上げたのが本人を追い詰めている意識など毛頭ないからです。
しかし、一生懸命介護する・かかわる方向性が間違っているのです。
医師や介護の世界では、BPSDは脳の器質的症状により、本人の性格や環境や体調面等が引き金となって生じて、介護者の対応のまずさは然程検討されないことが多いのですが、
BPSDのほとんどは家族や周囲との兼ね合い・関係性で生じているのです。
認知症と診断された人に、毎日感謝の言葉を掛け、積極的に話しかけ、例え会話が上手くてできなくても、一方的になっても構わないので話しかけ、過剰な励ましをせず、些細な指摘や叱責を減らし、多少の失敗はあっても役割を担わせることで、家族が振り回されるような不適切な行動はずいぶん減るのです。
※腫れ物に触る・過剰にやさしい対応・上っ面な対応は敏感に見抜かれます。