一年前に介入したケースのご紹介をします。

注)個人情報保護を遵守のうえ実践に役立つことを願いご家族に了解を得ております。

 

①相談までの経緯

前頭側頭型認知症と診断を受けた男性と妻の二人暮らし。
マンションのフロア階の角・階段踊り場・エントランスの角に毎日放尿し、マンション管理人や住民から立ち退きを要求されている。
地域包括支援センターに相談したがサービスには繋がらず。
※常同的周遊行動があり、デイサービス利用が難しいと言われたとのこと。
行政からは精神病院への医療保護入院を勧められたが、妻としては精神病院には入れたくないということで相談。

 

②インテイク
マンションエントランス・フロア階・階段踊り場に「立ちしょん禁止・おしっこ禁止」や神社の鳥居の絵が貼られ(鳥居の絵は包括支援センターの職員にアドバイスを受けて)、三角コーンも置かれた異様な風景。
 
男性の常同的周遊は天候状態にかかわらず、毎日朝食後すぐに7時30分バスに乗ってショッピングモールに行き午前中過ごし、12時に自宅へ戻り昼食後、再びショッピングモールへ行き、17時に帰宅し、夕食を食べ入浴をして就寝するという時刻表的生活は毎日決まった時刻に同じ行動をしている。
※アルツハイマー病の徘徊とは異なり、一人で出掛けても戻ってこれるのが特徴である。
※ショッピングモールは頻繁に孫と出かけていた場。フロア内をうろうろしたり、ベンチに座って客の行き交いを眺めて過ごしている。
 
最近の長谷川式・MMSEは0点(質問の意味が理解できない)
語彙は少なく「めし・お菓子・風呂・寝る・行く・おう」程度。
文字認識も困難な状態。
私が笑顔で会釈すると、無表情だが会釈をしてくれたので他者の共感性は保たれていると思われる。
決まった時間に食事が提供されないときは「うあぁぁぁぁ」と怒鳴り声を上げる。
 
排泄状況
放尿が始まったのが1年前から。
自宅では排便はするが排尿は全てマンション内。

ショッピングモールではトイレに行っている。

面談中も外へ出ていき、フロア階の角に放尿をして戻ってきた。

妻もはじめは放尿しないよう注意をしたり出ていくのを止めていたが、男性が暴れるため

今は本人の気のすむようにさせて、放尿後、妻が掃除をしている。

放尿中、マンション住民に怒られたりしても意に介さず。

 

マンション住民の対応

男性は前頭側頭型認知症と診断を受ける前から、マンションのエントランスをうろつき、同じ言葉を繰り返したり、他人の言葉をオオム返したりする等があり、住民らは男性を特異な人と扱い、陰口を言ったり、男性に面と向かって暴言を言っていた。            男性の放尿行動がはじまると叱責したり罵ったりが今も続いている。


②行動随伴生
家やショッピングモールでは排泄出来ており、膀胱の器質的な疾患はなく、トイレの場所認識もあるため、マンション内に放尿する行動が強化されている。
 
マンション内に尿の汚れなし→放尿→マンション内の汚れあり
★好子出現の強化
マンション内で排尿が「好子」

通常、放尿という不適切な行動をすれば住民からは怒られるのは当たり前で、普通なら罵声叱責は嫌子=デメリットである為、罵声叱責が嫌子なら放尿の行動は止むはずである。
★嫌子出現の弱化。

しかし、男性の放尿は強化されているため、好子=メリットは(住民の困惑·叱責や怒りの表情)なのである。
住民の怒りなし→放尿→住民の怒りあり
★好子出現の強化

また、男性が放尿するときに、常に住民がいるわけではない。誰もいないときでも放尿をしているのは阻止の強化がはたらいているためである。
放尿を止めてしまうと、住民の住民の困惑·叱責や怒りの表情が得られなくなってしまう。
★好子消失阻止の強化

③機能的アセスメント
男性の放尿は「注目」「感覚=自己刺激」の機能と仮説した。
注目···住民を慌てさせたり、困らせたりするために起こしている
感覚···トイレ以外の場でする排尿は快もあるのだろう。
 

どのような支援(行動を変える介入)をしたかは次回報告致します。

皆さんならどの様な支援をしますか?