電話のむこうで怒鳴り声。
「ばっかじゃねえのー!そんなんあるわけねえだろ、友達もできない、学校もうまくいかないっつったら、成績なんかいいわけねえだろ、赤点で補習なんだよ!俺はー!!」
そっかあ、先生にどこが分からないか聴けるのね?
「あったりまえだろ、1対1なんだから聞けないわけないじゃん!」
あら、
聴けるってことは、
分からないとこがわかるってことよー。
それは頭が悪くちゃできないことなのよ。
良かったね、
分かる機会があって!!
「何訳の分かんないこと言ってんだよ、酪農やってる家のやつばっかの頭の悪い高校で、クラスで一人だけ補習だぞー!俺、馬鹿なの!!すっごく馬鹿!!!」
あら、
頭がよくない人には
あなたみたいに強烈な自己主張はできないのよ。
酪農のお勉強もできる高校なの?
いいなあー!
牧草刈ってくるくる巻く乗り物とか、
トレーラーとか、
乗りたいなあ!!
かっこいいよねーー!
「あんなもん乗りたいと思わねえもん!うちは農家じゃねえから、無いんだよー!バイクのほうが100倍楽しいね!!」
バイクに乗るのは楽しいんだね!
バイクに乗るお友だちはいるのね!
「高校の友達じゃねーよ!
俺、
一時間もかけて通ってるんだもん!」
一時間かけても毎日通うのねー!
お友だちいなくても、
通えるって、すごい力だよー!酪農の勉強楽しい?
「だから、
学校うまくいかないって、いってんじゃん!!なに聞いてんのあんたー!牛とか豚とか、くさいんだぞー!」
えーーー、動物きらい??
「、、嫌いじゃじゃねーよ!」
良かったー!
牛もなんだかたくさん
種類あるんですってねー!
茶色い、肉牛っていうのとか、あの、
ブチブチのお乳とる牛とかー
「ホルスタインだろ!毎日乳絞ってるぜ!」
それは、うらやましいー!
私、
お乳絞らせてもらったのにうまくできなくてねー!
「ビーフジャーキーもつくる!」
おーー!そっか、
ビーフジャーキーって、
牛なのねー!!
いいなあ、
自分で作ったのって、
絶対美味しいよね!
「んまい!」
その美味しいのを、
みんなに食べさせてあげられる勉強もしてるんだねー!!
ありがとう!!
あなたの牛乳と
ビーフジャーキー、
食べられるのを楽しみにしてるよー!!!
美味しいもの、大好き!
「おー!
んじゃ、明日も学校行ってくらー!」
うん!うん!
またお話し聞かせてね!
「おー!またなー!なんかちょっと気分が晴れたぜ。ありがとなー!」
電話を切ったあとに、
祈ってるよ。
高校でも、ビーフジャーキーのお話が出来るお友だちが出来ますように!!