声楽教師の指導に「声を落とすな!」とう慣用句があります。

 

正に「油を売る」「道草を食う」などの様に[油・売る][道草・食う]の二つの単語が連なって特別な意味を成す慣用句と同じく・・・・・声楽指導の中での特有の慣用句と言えます。

 

声楽発声に携わらない方には皆目意味は分からないと思いますが、声楽発声に携わっている方にはご理解いただけるはずです。

 

声を落とさないとは・・・・・?

 

歌い出しを「頭声」で捉えた後、メロディーラインが下がって胸声域に入っていく際に頭声のポジションを保持して捉え、胸に声を落とさない事・・・・・・

 

・・・・・・ではないのです。

 

「声を落とさない」と言うのはメロディーラインが下がって胸声域に達した後もヴァイヴレーションを伴ったエスプレッシーヴォを外さない・・・・と言う事です。

 

パールマンの演奏の[1ː14]辺りでの低音の処理の仕方が正に「声を落とさない」と言おう事です。メロディーラインが下がって低音に達した後もヴァイヴレーションを伴ったエスプレッシーヴォは外れません。

 

これが「声を落とさない歌い方」です。「声を落とす!」と居る事象を言語で捉えるのではなく音楽で直感する方が早道です。

 

パールマンのヴァイオリンの様に歌うのです♪ 

 

あなたがパールマンの低音の様なヴァイヴレーションを表現しようと欲するならば・・・・メロディーラインが下がって胸声域に入って行っても、ヴァイヴレーションとエスプレッシーヴォの連続性を保持しようとするなら・・・・必然的に上のポジションを選択、保持するはずです。

 

声楽教師の言葉を理解しようとしても歌唱と言う抽象的な世界においては「言葉によるアドバイス」は断片の一つにしか過ぎません。音楽と言う暗示で捉えるのです。