アクートの際には意識の空白と集約が必要となります。

解り易く言えば跳び箱・・・、高くなるにつれて身構え固くなってしまうものです・・・

しかし先ず、大切な事は「踏み切る」事です。委縮する体を踏み切らせるには「意識を空白にして更に集約」が必要になります。

アクートも同じです!

人の感覚として・・・歌う前に必ず声・音高を意識してしまいます。意識した瞬間・・・声帯の筋肉は委縮して・・・つまり「詰まって」しまいます。

アクートを踏み切らせるためには意識的に「意識を空白にして集約」する必要があります。そして、アクートの間中・・・その集約を持続させるのです。

さもなくば、声帯が委縮して、瞬時にアクートは空中分解してしまいます。

助走 = 呼気のパッサッジョ(通過)のスピード・・・・と踏切りのタイミング・・・すなわち、ジラーレとキューゾのタイミングを合せるのがアクートの技術です。

力ではなく、スピードとタイミングから生まれます。

そして宙に浮いた状態の体がアクートの状態です。これがアクートの感覚・・・です。

つまり、喉から声が外れた感覚なのです!・・・完璧に喉から離れているのに響きだけが増幅されている感覚なのです。

たまに、アクートをパッサッジョ域で曲げさせたり、覆ったり・・・と言う、力づくで意図的な指導がなされますが、これは違います。アクートとは・・・声帯で声色を軌道修正できる次元のものではなく・・・

アクートとは・・・既に跳び箱の上を声が飛んでいる状態を言うのです・・・そう、既に喉から外れて飛んでいる状態なのです!

そしてその全ては・・・呼気のスピードとジラーレ、キューゾのタイミングで決まります。つまり踏切のタイミングで決まると言う事です。

さらに、アクートの間は「意識の空白と集約」の持続が必要です。

あるサイトで、アクートは「花を咲かせる感じ・・・」とありましたが、人の能力で意識を集約できるのはほんの一瞬です。花が咲くまでは・・・長すぎます。

長くても、ピッチャーがモーションに入って球を投げ、キャッチャーが捕球するくらいの間でしょう・・・・・この間合いが長くなり、打者が耐えられずに一度バッターボックスを外してしまうのはそのせいです。

パヴァロッティが「Vincero!」で数秒間・・・「意識が飛ぶ」・・・正に「空白と集約」の感覚です。


【K-メソッド】 


~アクートの際の意識の空白~