これはいわゆる・・・【K-メソッド】における「五輪書」の一部分です・・・
(;^ω^)
先ず、カップチッリの「祖国の敵」のアリアです。イタリアのバリトンの中では決して声質(美声)に恵まれているとは言えないカップッチッリが何をもってヴェルディ・バリトンと言わしめたのか・・・!?
それは・・・何よりも彼の迫真の「声」です! カップチッリの歌は・・・軽薄に声だけが先んじた歌・演奏は記憶にありません。これは、デル・モナコに匹敵します。他の歌手の追随を許しません。
ここが何をおいても私・・・凡人には残念ながら真似のできないところです。
しかし、幸いながら彼の呼吸法・アッポジオテクニックは修得出来ます。ここが【K-メソッド】の着目点・・・と言うより、ベルカント唱法です。
しかしながら、このテクニックは声だけが先んじた歌を歌っているうちは到底修得は不可能です。先ず、ドラマ先行型の歌唱でなければ不可能です。
彼のお腹、特に歌唱時のお腹を見てください! ピクリとも動きません! 燕尾服なのでその動きはカメラのアングルもベストなので良く見えます。
ピクリとも動きません。
これは、日本の声楽教育における腹式呼吸の指導とは正反対の状態です。
結果としては動かなくても良いのです! 逆に・・・動いても良いのです・・・、結局はお腹の動きはどうでも良いのです。
注目すべきはブレスのタイミングです! カップチッリは類い稀なるブレスコントロールと言われますが、単にブレスが長い・・・と言うだけではなく、そのブレスのタイミングごとにアッポジオが生まれていると言う事が特筆すべき事実です。
アッポジオは、意識でお腹をどうの・・・丹田をどうの・・・横隔膜・・・背筋をどうのではなく、ブレスのタイミングごとにアッポジオ(支え)が生まれてしまう呼吸の循環の「摂理」です。
摂理・・・すなわち、そうなってしまう法則です。そうなってしまうことが大切なことです。
言い換えれば作為では掴めないと言う事です・・・
ここを、作為で掴もうとすると非常に遠回りをしていまいます!
人間の筋肉の動作は意識で支配できる部分もありますが・・・歌唱の場合・・・ドラマ先行・ノリ先行で初めてそれに必要な器官・組織が動作する・・・。
要するに、意識で操作できる、支配できる器官は限られていると言う事です。
解り易く言えば・・・心臓の鼓動は心的作用で変化しますが、意識では心臓の鼓動は変化させられないののと似ています。
涙は意識では流せない、想いが募って涙になるのでしょうか・・・
私の動画を参照して頂くと分かりやすいと思います。
お腹は全く動いていませんが、ブレスのタイミングでアッポジオが生まれて来ます。
ここが、バス・バリトンの歌唱で最も大切なポイントです!! このアッポジオに寄りかかることで自然にアクートが生まれてきます。
また、歌唱においてパッサッジョ域でのカバー、チェンジ、コペルト・・・等の作為の必要がなくなる為、胸声~アクート~胸声への自然なレガートが生まれてきます。
パッサッジョ域を意識にによる声の操作で越えようとすると非常な困難が伴います・・・と言うより・・・難しいと思えます。摂理と言う事でしょうか・・・
アッポジオの修得こそがバス・バリトンが取り組むべき最優先課題です!!
【K-メソッド】 バス・バリトンのアクート・アッポジオの実践
~ブレスのタイミングでアッポジオが生まれ、それに寄りかかることでアクートが生まれます~