【坐骨神経痛とは?】

坐骨神経痛とは、お尻から太もも・ふくらはぎ・足先にかけて走る「坐骨神経」が刺激または圧迫されることにより、痛み・しびれ・違和感が生じる状態を指します。西洋医学では椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが原因とされますが、東洋医学では「気血の巡りが悪い」「寒湿(冷えと湿気)の停滞」「腎虚(腎の力の低下)」などが関係すると考えます。


【東洋医学的な原因と考え方】

  1. 寒湿邪の侵入:冷えや湿気が腰・脚に入り込み、気血の流れを滞らせる。梅雨時や冷房で悪化するケースが多いです。

  2. 瘀血(おけつ):血流が滞り、神経周辺に痛みが起こる。慢性化した痛みに多く見られます。

  3. 腎虚(じんきょ):腎のエネルギーが不足し、腰・下肢の支えが弱くなる。加齢・過労・過度の性生活などが要因。


【治療に使う主な経穴(ツボ)とその場所】

経穴名 場所 効果
委中(いちゅう) 膝裏の中央 腰背部から下肢の痛みを和らげる「腰背の要穴」
承山(しょうざん) ふくらはぎの真ん中で、つま先立ちして筋肉が盛り上がる部分 坐骨神経経路の緊張緩和
環跳(かんちょう) お尻の中央よりやや外側。横向きに寝て股関節を曲げたときの大転子と仙骨との間 坐骨神経に直接アプローチできるポイント
殷門(いんもん) 太ももの裏、坐骨神経の通り道上 神経痛やしびれの改善に効果的
腎兪(じんゆ) 腰の骨(第二腰椎)から指2本分外側 腎の気を補い、根本からの改善を図る
太谿(たいけい) 内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ 腎経の原穴。冷えや腎虚の改善に用いる

【日常生活で気をつけること】

  • 冷えを避ける:冷房や床からの冷え、薄着に注意。特に腰・お尻・足首を冷やさないように。

  • 長時間の座位を避ける:圧迫が悪化するため、定期的に立ち上がってストレッチ。

  • 過労・睡眠不足の回避:腎の気を消耗し、回復が遅れます。

  • 適度な運動:ウォーキングや軽いストレッチで気血の巡りを促進。


【セルフメンテナンスの方法】

◉ お灸(セルフ灸)

以下のツボに温灸(台座灸)がおすすめです(1日1回、5〜10分程度)。

  • 太谿:腎を補うことで腰や下肢の冷えを防ぎます。

  • 委中:腰から脚の気血の流れを良くします。

  • 承山:ふくらはぎの緊張緩和で神経圧迫を軽減。
    ※火傷防止のため、熱すぎると感じたら中断しましょう。

◉ ツボ押し

指圧やゴルフボールを使って「殷門・承山・太谿」を軽く押す。1回5秒ほどの刺激を5〜10回。深呼吸しながら行うとより効果的です。

🔵 太谿(たいけい)

  • 場所:内くるぶしの頂点とアキレス腱の間のくぼみ

  • 探し方:足首の内側にある内くるぶしに指をあて、そのすぐ後ろ側をたどるとアキレス腱との間にくぼみがあります。そこが太谿です。

  • 主な作用:腎のエネルギーを補い、冷えや腰痛、足のだるさにも効果があります。


🔵 委中(いちゅう)

  • 場所:膝の裏側の中央

  • 探し方:膝を曲げた時にできる膝裏のシワの中央。ちょうどハムストリングスの腱の間にあるところです。

  • 主な作用:「腰背の要穴」といわれ、腰痛や坐骨神経痛に最もよく使われるポイントです。


🔵 承山(しょうざん)

  • 場所:ふくらはぎの中央、筋肉が盛り上がる部分

  • 探し方:立ってつま先立ちをしたとき、ふくらはぎの中心に盛り上がる筋肉の一番下のあたり。アキレス腱に向かって細くなり始める境目です。

  • 主な作用:ふくらはぎの緊張をゆるめ、坐骨神経の流れをスムーズにします。


🔵 殷門(いんもん)

  • 場所:太ももの裏側の中央よりやや上

  • 探し方:お尻の下(坐骨結節)と膝の裏(委中)を結んだラインの上1/3あたりで、ハムストリングスの中心を押すと圧痛がある場所です。

  • 主な作用:坐骨神経が通るライン上にあり、しびれ・痛みの緩和に効果的です。


📌 ポイント

  • ツボは押して「少し痛気持ちいい」くらいが目安です。

  • 押す前に少し温めるか、お灸を使うのもおすすめですよ。


 

◉ ストレッチ

  • お尻と太もも裏を伸ばすストレッチ(梨状筋ストレッチ)が有効。

  • 床に座り、片膝を曲げて反対側に倒し、体をねじるポーズもおすすめ。


【まとめ】

坐骨神経痛は東洋医学では「気血の流れの滞り」「寒湿の邪」「腎虚」などが原因とされます。
ツボ治療やお灸を使って、巡りを良くし、冷えを防ぎ、腎を補うことが大切です。生活習慣を見直しつつ、セルフケアを習慣にすることで、痛みの軽減や再発予防が可能になります。