扉を開けると、1m程先にもう一枚扉が有りました。


と同時に「いらっしゃませー!」という、八百屋さんのそれにも似た、


威勢の良い声が扉の向こう側から轟いてきた。


気の小さい僕です。


いつもの私なら、怯んで引き返していたことでしょう。


しかし、その日は『魔がさした』状態です。


二枚目の扉を開きました。


薄暗い店内、カウンターの無い店内、装飾品の少ない店内


件の呼込みのお兄さんが僕に近寄ってきました。


「ご指名はありますか?」と尋ねながら僕を席に付かせます。


「いいえ、ありません。初めてここに来ました」と言いながら、僕は腰を降ろしました。


間も無く件の呼込みのお兄さんが、女性を伴ってやって来ました。


「○○さんです」と僕に紹介してくれました。


それは、日本人の名前では有りませんでした。


少し酔いが回り始めたところでした。



彼女はフィリピン人で、僕の入ったお店は、いわゆる『フィリピン・パブ』という所でした。


その時僕を担当してくれた女性と、色々な話に花を咲かせました。


酔いが回って、少し眠くなってきました。


彼女の肩で少し眠ったような気がします。


温かい方だなぁ、と思いました。


彼女に電話番号とメールアドレスを交換して帰りました。


でも、彼女の名前を、本当に失礼な事なんですけど、忘れていました。