誰かを助けるために生まれた 片翼の天使


小さな背中に生える純白(しろ)い翼は片方しかありません

片翼の天使はそれをひどく恨み 泣きました



-どうして私だけ片方しかないの?
みんなと一緒にあの空へ飛びたい
私も誰かを助けたい
なのに片方だけしか翼がないから私は飛べない 飛べないから誰かを助けられない-

片翼の天使は空の上からいつも いつも下を見ています とても羨ましく見ています


‘大丈夫 君は飛べるよ さぁ僕の手を取って?’


片翼の天使の前に手の平が伸びてきました
誰かの 大きな温かい手の平が


‘飛べないわ だって私は片翼しかないもの’

‘大丈夫 僕がいる さぁ僕の手を取るんだ’

片翼の天使はおそるおそる その手の平を取ります
手の平はひっぱるように片翼の天使の体を宙に持っていきます

天使の片翼が大きく広げられ 天使は飛びました


‘ほら飛べた 片翼だからって飛べないはずがないんだ 君が飛ぼうとしてないだけ もう大丈夫 君は飛べる’

‘本当に?’

‘僕の手を離してごらん?’


片翼の天使は手を離します
その体は落ちることなく 宙を飛んでいました

‘飛べてる…… 飛べてるわ私 ありがとう 私を飛ばしてくれて’

片翼の天使は慈愛に満ちた微笑みと共に 手の平に向かって言いました



そして片翼の天使は飛びます
飛んでいる幸せをかみ締めながら フワフワ フワフワと


片方しかない翼を 大きく 誇らしげに羽ばたかせながら……