ギリシャ生まれ・オーストリア育ちの元サッカー選手で世界的に知られている名監督のアンジェ・ポステコグルー(Ange Postecoglou)が森保監督とアンチェロッティ監督についてこのようなコメントを残している

 

「アンチェロッティ監督は選手たちを信頼したが、森保監督は正反対の采配を見せた」

 これが、英ITVで解説を務めたポステコグルーの分析を貫く、本質的なメッセージだった。彼の指摘は、単なる選手交代や戦術の細部にとどまらない。メンタリティや選手への信頼、そして「日本がブラジルを倒せるチームとして最後までプレーする勇気を持っていたかどうか」という根幹の部分に向けられていた。 彼はまず、ブラジルへの敬意を表すようにこう語り始めた。 

 

「強いチームは勝ち方を知っている。カルロ・アンチェロッティの決定的な采配は、選手への信頼から生まれたものだ」 さらにこう続ける。 「アンチェロッティは攻撃的な選手たちを投入して責任を与え、彼らの個の力が試合を決めることに委ねた。ブラジルは重圧がかかる局面でも引くことなく、むしろ前へと出た。一方の日本は、プレッシャーを受けると、本来自分たちの強みであったはずの基本原則から遠ざかってしまった」 

 

「ここが決定的な違いだ。アンチェロッティが『攻め続けろ』と選手たちを信頼して送り出したのに対し、日本は序盤にあれほどブラジルを苦しめていたアグレッシブで前向きな姿勢を、徐々に放棄していったのだ」 

 

もちろん、ポステコグルーは日本が無謀に攻撃に出たり、がむしゃらなサッカーで闇雲に点を取りに行くべきだったと言っているわけではない。彼が求めていたのは「コントロールされた勇気」だ。 

 

「日本はブラジルの脅威となり続け、適切なタイミングでプレスをかけ、防戦一方になるのを避けなければならなかった。日本が深く引きすぎれば、ブラジルは何度も前線へと押し込んでくる。ブラジルほどのクオリティを持つチームに押し込まれ続ければ、ゴールを奪われるのは時間の問題だ」 ポステコグルーの指摘をさらに痛烈なものにしているのは、彼がハーフタイムの時点で既にこの展開を危惧し、警告を発していた点である。 彼は「日本は深く引いてはいけない」と語り、視聴者に日本代表の過去のトラウマ――2018年のベルギー戦(2-0からの逆転負け)や、2022年のクロアチア戦(1-0からの同点、そしてPK負け)――を思い起こさせた。 「ブラジル戦でも、また同じパターンに陥ったように見えた。それは単なる戦術の崩壊ではなく、心理的な後退を意味している」 「日本は単に試合の主導権を失ったのではない。『目の前の相手を本当に倒せる』と信じてプレーすることをやめてしまったのだ」。これこそが、ポステコグルーの分析から得られる最大の教訓である。 「日本は、自分たちの勝利を信じてプレーしなければならない。ハーフタイムや、自分たちが試合を支配している時だけでなく、相手がブラジルで、プレッシャーが高まり、思わず引いて守りたくなってしまう防衛本能が働く時こそ、そうしなければならないのだ」 ポステコグルーは明らかに日本サッカーの力を信じている。試合前にも「日本が勝っても私にとっては驚きではない」と語っていた。彼にとって、今の日本は「勝てば嬉しいサプライズ」扱いされるようなチームではない。すでにダークホースの域は脱しているのだ。 「しかし、その信念はピッチ上での『勇気』によって裏付けられなければならない。日本は壁を打ち破り、重圧の中でも自分たちのスタイルを貫き、『真のワールドカップ優勝候補』として振る舞うべき段階に到達しているのだ」