今年2月末に、アメリカの番組「Tonight Show」でBTSの「ON」が放送された。ニューヨークのグランド・セントラル駅構内で収録された(生放送?)「On」はBTSのパフォーマンスの中でも最高傑作なのではないだろうか。
彼らが「アイドル」ではなく立派なアーティストであることを名実ともに証明したパフォーマンスであった。
「ON」の振り付けを行なったのは若干19歳の振り付け師、シエナ・ララウ。彼女でさえも“過酷”と語った「ON」のパフォーマンス。「ON」の振り付けは歴代最高級といわれるほど難易度が高いと言われている。長期間に渡る過酷な練習だったそうだが、その中で信頼感が芽生え、それにより更に良いパフォーマンスが生まれたとのこと。世界中から振り付け依頼が殺到し引っ張りだこの彼女がBTSを「本当に才能のあるアーティスト」と評していた。この「ON」の完成度を観れたば、彼らのアーティストとしての実力がどれほどのものか一目瞭然である。
このテレビでの圧巻のパフォーマンスを観ながらYoutuberでコメントを掲載した人たちが多数いた。驚くべことは成人男性がBTSのファンだということ。彼らをK-POPアイドルとしてではなく、「アーティスト」として彼らの才能を認めているからこそ、年齢、性別、国籍を問わず多くのファンに指示されているのである。
ここに5年前のJinの踊りだけを追った動画がある。
一般的なアイドルであれば、この程度の踊りで十分人前に立つことはできる。しかし、J-HopeやJimin、Jungkookなど比類まれにみる踊りの才能に恵まれたメンバーと同じグループとしてパフォーマンスするにはあまりにも残酷なレベルだった。
2015年のJin
しかし、2020年の「ON」のJinのパフォーマンスの成長ぶりは目を見張るものがある。もちろん、前述の3人には到底及ばないないレベルだが、それでも、Grand Centralでこの圧巻のパフォーマンス集団の一員として踊って歌っていること事態が奇跡である。
Jinだけではなく、RMもSugaも決して歌って踊るアイドル向きの賜物を授かっているわけではない。しかし、この
「ON」でのパフォーマンスに関しては、彼らの持っているポテンシャルも十分引き出しつつ、BTSが得意とする群舞の中にあって、彼らの弱みも強みになって表現されている。
前半のJ-Hopeのソロに移るまでのJungkook,Jimin、Vのパフォーマンスはまさに圧巻!それ以外の言葉が見つからない。J-Hopeの歌と踊りもこれまでにないほどのできて、彼がこのチームの底上げの原動力になっているのが見て取れる。
後半の二手に分かれ踊るシーン。J-Hope, Jimin, Vの懇親のパフォーマンスは観る者を感動させずにはおかない。彼らのパフォーマンスは、鳥肌ものというよりも、もう気絶しそうなレベルである。初めてのこの動画を観た時は、感動と驚きで放心状態になった。司会者は"Amazing"を連呼していたが、「ド迫力」な歌と踊り。Grand Centralという場所が彼らの動きに躍動感を加えたようであった。
NYのダンサーのレベルは世界一と称されるが、そこに集められたダンサーたちの影が薄く見えるほどBTSのパフォーマンスはキレキレだった。
クリーンで誠実なイメージは彼らの日常を映し出すSNSからも垣間見ることができる。その誠実で飾らない人柄も人気の理由の一つだ。その彼らの誠実でピュアでクリーンなイメージとこのパフォーマンスのギャップもまた魅力の一つである。彼らのポテンシャルの全てをブレンドしながら7人で切磋琢磨し、お互いを高めあいながらここまで上り詰めてきたBTS。そのすべてが結集されたパフォーマンスが今回の「ON」だと言えるのではないだろうか。
次から次へと見分けのつかないアイドルグループが量産される昨今、彼らは他のK-Popアイドル達とは一線を画している。所属事務所の大人たちが彼らの戦略に合わせて造られたアイドルの賞味期限が短いのは当然である。しかし、BTSは若い女性たちの悲鳴にも似た声援の中でアイドルとして活躍する姿も見せながら、着実にアーティストとして天井知らずの階段を上りつめている。
結成7年目を迎えても人気が衰えることはない。Vogue Japanで特集が組まれるということは、10代、20代の若い女性のアイドルとしてだけではなく、本物志向の30代、40代の女性たちの心をもとらえようとしているBTS。その魅力はinfinity!