完璧主義の人は、ストレスをためやすい
まずは自分を縛っている「こうあるべき」という発想を捨てましょう。「テキトーでいいや」と割り切った瞬間、いろんな圧力や義務感から解放され、毎日がとてもラクになります。
●完璧主義を捨てる
多くの先人が主張する通り、「完璧主義」も捨てたい習慣のひとつです。
医療行為など、完璧を追求しなければならない分野もありますが、私たちの日常生活では完璧主義が逆に世界を狭く、ストレスフルなものにします。
完璧主義のデメリットは、例えば次のようなものが挙げられます。
1. アクションが遅れる
2. 変化に対応しにくい
3. 精神的に疲れる
4. 他人に不満を感じやすい
1. アクションが遅れる
完璧な準備ができてから動こうとしていると、どうしても行動は遅れます。
例えば学生の頃の受験勉強。合格ラインに達していなくても、とりあえず「模擬試験」を受ければ、どんな問題が出されどんな時間配分が必要かが体感できます。
会場はどんな雰囲気で、自分がどんな精神状態になるかが分かる。だから次の模試や本番では、もっとうまくできるようになる。場数が多ければ多いほど、それだけ本番で平常心を保てる。
これはビジネスでも同じことで、完璧なプランだと思っても、顧客の反応や市場の変化によって必ず軌道修正を迫られます。
私がかつて失敗した事業のひとつに「投資物件検索サイト」があります。当初は壮大なビジョンを掲げ、Web制作会社との要件定義(システムの機能設計)の打ち合わせに半年以上の時間を費やし、多額の資金を投入しました。
しかしいざリリースしてみると、競合のサービスも進化し顧客のニーズも変化しており、まったく売れない。テコ入れをしようとしても、最初からガッチリとシステムを組んでしまったせいで、修正にも膨大なコストがかかってしまうため資金が足りない。つまり身動きがとれなくなってしまったのです。
そうならないために、6~7割くらいの完成度でもとりあえずやってみる。サービスを開始してみることです。その結果、顧客からの反応があり、意見をもらえます。まったく反応がなかったとしても、それも1つの反応です。
「次はここを改善すればもっと良い反応があるだろう」
「うまくいったからもっと改良しよう」
そうやって試行錯誤して、どんどん進化させていくことができます。
2. 変化に対応しにくい
念入りに時間をかけて仕上げたプレゼン資料を上司に見せたとき、大きなダメ出しや根本的な修正を迫られることがあります。すると、それまで費やした時間と作業がムダになります。「最初に言えよ……」と、一気にモチベーションも下がるでしょう。
こうした事態を回避するためには、とりあえず細部には目をつむり、スピード重視で全体のストーリーや構成をつくった段階で上司に見せることです。もし上司のイメージと違っていれば、早い段階でフィードバックを受けることができ、手戻りや作業のムダを防ぐことができます。
とりあえず「いったん最後まで終わらせる」ことです。例えば企画書やレポートなどは、最初から「3回やり直すもの」というイメージで取り組むと、結果的に完成度の高いものをつくることができます。
1回目は、怒られない程度の粗さで最後までザッと終える。そして上司のフィードバックを受けて、修正する。そして最後に自分が納得するレベルまで細部を詰める。
早い段階で「一応全体像はできている」という安心感があると、それ以降は中身のブラッシュアップに専念できます。早く終わらせればその分、中身を確認したり、修正する時間の余裕ができます。
そうして、最初から「完璧」を狙わないことで、結果的にはクオリティの高いものになる、というのが自分の経験から得た教訓です。
3. 精神的に疲れる
完璧主義の人は、ストレスをためやすい傾向があります。よきビジネスウーマンであり、よき妻であり、よき母であらねばならない――と考えると、時間的にも精神的にも自分を追い込み、疲弊してしまいます。
でも、「テキトーでいいや」と割り切った瞬間、いろんな強制力や圧力や義務感から解放され、毎日がとてもラクになります。
そんな「テキトー思考」になるには、「あるべき論」を捨てることです。「こうあるべき」「こうあらねばならない」という発想が自分を縛るので、それを捨てる。
そのために、「そのあるべき論を外れたら、どんな困ったことが起こるか?」をイメージしてみることです。
例えば、家の掃除をサボった。でも人間はホコリでは死なない。
洗濯をサボった。でも昨日の服にコロンをシュッと吹いてごまかすことができる。
教育をサボった。でも熱心に育てても、子どもが疲れてバーンアウト(※)することもあれば、ダメ親を反面教師にしっかりした子どもになったりすることもあるから、あれこれ先回りしてレールを敷くのが正しいとは限らない。
ちょっと無理矢理っぽいと感じるかも知れません。でも、そう考えることで、「そういうのもアリ」と自分を許せるようになります。
(※)バーンアウト=燃え尽き症候群のこと。心因性(反応性)鬱病の一種で、仕事などに没頭してきた人が意欲を失う現象。
4. 他人に不満を感じやすい
完璧主義のもう1つの弊害は、他人に対しても完璧を求めるようになることです。自分が完璧だから相手も完璧であるべきだ、という発想になりがちです。
それが他人に対する不寛容さを生み、イライラの原因になります。「なんでこんなこともできないの!」と他人を叱り飛ばすような人です。
完璧主義を強要されるのは気分が良くないですから、「いちいちうるさい人」と敬遠されるようになります。職場で孤立しやすい人には、こういうタイプも多いのです。
人は不完全だし、社会も不完全です。もちろん自分だって不完全。世の中のすべてが不完全で発展途上で改善余地にあふれていると捉えれば、他人の不完全さを受け入れ許せるようになります。すると、他人の言動にいちいち腹を立てたり、イライラすることも減り、感情的に穏やかな生活を送ることができます。
●捨てる「習慣」 その5
・「完璧主義」を捨てられない人:ストレスまみれの人生になる
・「完璧主義」を捨てられた人:挑戦できる体質になる
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