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<くらしと政治>衆院選 高齢者介護 「24時間巡回」実施は3.5%
◇「在宅重視」の理念先行 人材不足や待遇改善、課題残し
「おせっかい、というとちょっと言い方が悪いかもしれませんが、地域の中でお互いに『見合って』いく仕組みが必要だと考えています」
小宮山洋子厚生労働相(当時)は3月の参院厚生労働委員会で、介護を必要とするお年寄りが住み慣れた自宅で暮らせることを目指す「地域包括ケア」について、こんな言葉で説明した。その目玉とも言える新たなサービスが、この4月に始まった。24時間対応の「定期巡回・随時対応型」の訪問介護・看護サービスだ。
通常の訪問介護は、ホームヘルパーが一定の時間自宅に滞在し、必要な介助をまとめて行う。これに対し新サービスは、要介護度に応じて月に約9000~3万円の一定額を支払えば、ヘルパーが昼夜を問わず1日に何度もこまめに訪れ、トイレ介助やおむつの交換、食事の提供などを短時間行う。前者が「滞在型」なら、後者は「巡回型」といえる。ベッドからの転落など急な介助が必要になった時に、利用者が電話などでオペレーターに要請するとヘルパーが駆けつける「随時対応」も可能という。
この「24時間型」サービス開始を翌月に控えたタイミングで、小宮山氏に新サービスの問題点をただしたのは、老人福祉施設の全国組織の顧問も務める自民党の議員だった。議員は「理念はバラ色で、素晴らしい」と前置きしつつ「東京では、1世帯当たりの平均人数が2人を割った。農漁村も都市部も崩壊する中で、介護施設を無視して地域や在宅で支えられるのか」と厳しく尋ねた。在宅介護を重視する民主党政権の方針への疑問をぶつけたのだ。
小宮山氏は「在宅で最期を迎えたい人が多いのに、8割は病院で亡くなる。希望との逆転がある中で、医療と介護が連携し、地域の支えをいただく仕組みをつくる必要がある。介護の施設は施設でちゃんとやる」と述べ、新サービスへの理解を求めたが、在宅介護をどう位置づけるかについて、民主、自民両党に温度差があることをうかがわせる場面だった。
もっとも「在宅重視」の理念も、それに見合う人員や財源の裏付けがなければ、簡単には実現できない。「理念先行にならないか」という懸念は、サービス開始前からあった。昨年6月の同じ委員会で、共産党の議員がこんな質問をした。
「寝たきりの人の床ずれを防ぐには、夜間にも身体介護が必要だ。家族の負担を思えば、24時間対応の支援策は必要だが、(介護職員が)鍵を預かって夜間に訪問するような責任の重い仕事を担うのにふさわしい待遇になっているのか。人員が確保できなくては、絵に描いた餅になる」
介護職員の待遇を良くする方法の一つが、介護報酬のプラス改定だ。今年は3年に1度の改定年。民主党政権は11年度末で終了予定だった、介護職員の給与引き上げのための交付金を、より安定して処遇改善に生かせる報酬内の加算制度に変えて盛り込むことで、前回改定(前政権)の3%増に続くプラス1・2%を確保した。
結局、介護職員の処遇は良くなったのか、悪くなったのか。桜井充副厚労相は今月7日の衆院厚労委で「介護事業者から『かなり厳しくなったんじゃないか』という声が随分寄せられている」と語った。厚労省は10月から、介護従事者の待遇調査を始めている。
ところで、肝心の「24時間巡回」サービスは、現在どのくらい実施されているのか。
厚労省は毎月、全国での実施状況を発表しているが、9月末時点で新サービスを始めた事業所があったのは、全国の1580自治体・広域連合のうち、3・5%の56にとどまった。政府は4月、今年度から3年間にわたる介護保険事業計画を策定したが、最終の14年度になっても、ようやく全体の約2割の329保険者にしか達しない見込みだ。
サービスが普及するのは都市部に偏り、地方は少ない傾向もはっきり表れている。昨年5月の衆院厚労委で公明党議員が「人口密度の高い都市部では機動的な対応が可能だろうが、過疎地で利用者が広範囲に点在している場合は、移動時間がかかり過ぎる。都市部以外での普及は難しい」と指摘したが、現状ではその通りになっているようだ。
自宅で暮らしたいお年寄りの思いに応えることを目指した24時間巡回サービス。普及には人材不足の解消や待遇改善など、多くの課題が残っている。【丹野恒一】
毎日新聞より
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