総評75点(車に乗って遠くへ行きたい指数50%)

原題 BABY DRIVER

製作年 2017

製作国 アメリカ

配給 ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント

上映時間 113分

(あらすじ)

天才的なドライビング・センスを買われ、犯罪組織の“逃がし屋”として活躍する若きドライバー、“ベイビー”(アンセル・エルゴート)。そんな彼が最高のテクニックを発揮するための小道具は、完璧なプレイリストが揃っているiPodだった。子供の頃の事故の後遺症で耳鳴りが激しい“ベイビー”だったが、音楽にノって外界から完璧に遮断されると耳鳴りは消え、イカれたドライバーへと覚醒する。だがある日、運命の女性デボラ(リリー・ジェームズ)と出会った彼は、犯罪現場から足を洗うことを決意。ところが彼の才能を惜しむ組織のボス(ケヴィン・スペイシー)にデボラの存在を嗅ぎ付けられ、“ベイビー”は無謀な強盗に手を貸すことになる……。(以上 Movie Walkerより抜粋)

 

そんなはずがないのに、あんまり乗れなかった。個人的に今夏一番の注目作だった『ベイビードライバー』。大好物の犯罪映画、しかも゛ゲッタウェイ・ドライバー”が主役のロックンロールカーチェイスムービー、さらに監督はブラッド&アイスクリームトリロジーのエドガー・ライト!とくれば、ラーメン二郎の「大ぶたW野菜マシマシ」みたいなもんで、100%の満腹はほぼ保証されているわけで、観る前から顔中、脂テカテカしながら映画館に足を運んだんですが、なんだか首を傾げながら劇場を後にすることになってしまいました。

 

映画の完成度そのものは非常に高かったとは思います。前評判に違わない流麗なカーチェイス、今まで類を見ないBGM演出(特に銃声とバスドラムの完全シンクロは実現するにあたって現場の大変な努力が伺えました。)、このことだけでも見る価値のある映画ですが、脇を固めた名優たちのキャラクター造形、予告編やポスターデザインに至るまで、パッケージとして『ベイビードライバー』という作品はどこをとってもエドガー・ライト印のセンスに溢れていて、「生涯ベスト級」と絶賛する人が多いのも理解できます。

 

僕が乗れなかった点をよく考えてみると、単純に好き嫌いのレベルの話ですのでこの映画を好きな方はこれ以上読む必要はありません。

 

まず、主人公のベイビーを演じたアンセル・エルゴート。甘いフェイスの長身イケメン俳優で、普段の生活を送っているときの好青年ぶりはいいんですが、ひとたびハンドルを握ったときの他の追随を許さない天才ドライバーならではの「キレモノ」感がいまいち伝わってこず、好青年のままなので迫力不足に感じました。参考までに僕が勝手に期待するキレモノドライバーの見本の画像を貼っておきますのでお察しください。(「60セカンズ」より。ニコラス兄さん。)

そしてもう一つ、この物語はクライマックスでそれまでとはガラっとシフトチェンジして、終局に向かって突き進みます。ジェイミー・フォックスが串刺しになったあたりから一気に加速するんですが、血が大量に飛び散り、車は轟音を上げてクラッシュし、登場人物は豹変し次々と凄惨な死を遂げる、いわゆるエドガー・ライト監督印のスピーディーな「カタストロフ」。監督のファンとして観てるこっちは、「いつもの感じになってきた、結末はさぞかし皮肉の効いたのをもってくるんだろうな。」と思っているとですね、意外なまでにモラリスティック(道徳的)な着地。しかも、なんかちょっとわざとらしい伏線を回収してハッピーエンド。きついパンチを期待してたら、ほっぺにチューされた感じといいましょうか。まあ、その図式自体は皮肉っぽくはありますが、僕にとってはこのラストのおかげで印象がちょっと薄い映画になってしまいました。

 

この映画に限らないですけど、悪の側にいた主人公が「堅気」になる結末って、なんかすごく退屈に感じます。我ながらどこか病んでいるのでしょうか。

 

↓エドガー・ライト監督の過去作。ビックリするくらいの大物俳優が出てます。

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