総評85点(子供連れにオススメ指数1000%)

原題 PADDINGTON 2
製作年 2017年
製作国 イギリス=フランス
配給 キノフィルムズ/木下グループ
上映時間 104分
(あらすじ)

南米ペルーのジャングルからやって来たパディントン。今ではウィンザーガーデンでブラウン一家と幸せに暮らしている。彼はどこへ行っても“元気”と“マーマレード”を振りまき、周囲から愛される人気者だった。そんななか、大好きなルーシーおばさんの100歳の誕生日プレゼントを探していたパディントンは、グル―バーさんの骨董品屋でユニークな飛び出す絵本を見つける。絵本代を稼ごうと様々な雑用仕事を始めるパディントンだったが、ある日、その絵本が何者かに盗まれてしまう。不思議な出来事が街で起こり始めるなか、パディントンはブラウン一家とともに事件を追いかける……。(以上MovieWalkerより抜粋)

 

まだ見ていない、うるさ型の洋画ファンはこう思っているんじゃないでしょうか。「どうせモフモフくまちゃんの、子供向け映画なんじゃないの?」って。それはまったくもってその通りです。

 

ロッテントマトで100%フレッシュを獲得したのを始め、各レビューサイトで絶賛を受ける作品ですが、いくら評価が高いからと言って「喋るクマ」や「それを違和感なく受け入れている世界」などに耐性のない方には一切向かない映画であることは断言できます。あくまで児童文学の実写化であるということを念頭に、鑑賞されることをお勧めします。こんなことを改めて書くのもですね、最近、特に僕が愛するアメコミ映画つかまえて「キャラを出し過ぎている」「能力が現実離れしている」とか、「喋るアライグマとかありえない」とかお門違いの難癖つけてくる不逞の輩が多いわけです。

 

君はあれかと、ドラえもん映画見に行って、「ネコ型ロボットって何?」とかとか「四次元ポケット草生える」とか言うつもりかと。何も事前知識を入れないで行くのは結構ですが、そもそも作品世界の基本設定を受け入れることができなくて不満を言うのは、マナー違反です。この世にクマが人語を話す合理的な理由などハナから存在しません。もし、リアリティを求めて『パディントン2』を観に行ったのなら、それはアナタが間違っているのです。

 

さて、内容と全く関係ない話ばかりしてしまいましたが、今作は好評を博した前作『パディントン』の続編としてパーフェクトな仕上がり、一本の映画としても、有名な原作を持つ二次創作としても、そしてロンドンの観光案内ムービーとしても完璧な映画となっております。サスペンス、アクション、そしてハートフルコメディの要素をふんだんに折り込みつつ、暴力描写や下ネタを一切封印して、安心して子供と観に行ける作品に仕上げた製作陣には、素直に敬意を表したい。子供には、たまに「毒」を与えるのもいいですが、基本的にはこういった節度のある良質な作品に触れていってほしいと切に願うものであります。

 

俳優陣の演技も良かった。ブラウン家の奥さん役のサリー・ホーキンスは前作に続いて飄々としていながら温かみのあるキャラクターを見事に演じていましたし、誰もが言うと思いますが何といっても今作はヒュー・グラント。もともと好きな俳優ですが、こういう自らのパブリックイメージを逆手にとったような役どころを演じさせると、『ノッティングヒルの恋人』の頃には想像もしなかったけど、芸の懐の深い俳優さんなんだなと改めて実感します。

 

完全に余談ですが、僕はこのパディントンの原作の大ファンでして、訪英した際に、ブラウン一家が暮らすという「ウィンザーガーデン32番地」を訪れたことがあります。パディントンの作品世界に登場する地名はそのほとんどが実在するので、こういった楽しみ方もできるわけです。

 

原作によるとウィンザーガーデン32番地は有名なノッティングヒル駅からほど近いポートベロー通りからすぐ、と書いてあるのですが、ちょっと下の地図を御覧ください。

実際はちっとも近くないわけです。で、件のウィンザーガーデン32番地に行ってみると下の画像のようなところ。

袋小路になっていて、突き当りの壁の向こうは官公庁になっているんですね。右手前コーナーのパブにはパディントンの家が近所だよ、みたいな掲示があるんですが、何というか随分イメージが違いますよね?再び地図をよくみると、パディントン駅でブラウン一家とパディントンは出会ったわけですから、当然ウィンザーガーデン32番地に帰るにはサークル線のウエ

ストボーン駅を使うことになります。そうするとポートベロー通り関係なくなっちゃうわけです。

 

これはいったいどういうわけなんだろう、と思い現地で色々調べたところ、どうやら原作者のマイケル・ボンドが、自らが幼少時に暮らしたレディング(イギリスの地方都市)のウィンザー・ドライヴから名前を拝借し、そして作家人生を送ったロンドンのアランデルガーデンをモデルにして、架空の「ウィンザーガーデン32番地」を作り上げた、というのが真相のようです。

ロンドン・アランデルガーデンの所在を確認すると、確かにポートベロー通りの中ほどに接続しているので、作中の描写にピッタリ合います。

アランデルガーデンの雰囲気はこんな感じ。32番地は左の建物列の奥から7番目くらいです。ここなら作中のイメージにピッタリですね。そう遠くない場所に作中と名前が同じ住所があるため、困惑してしまった原作ファンもきっとたくさんいるんでしょうね。

 

ちなみに映画版パディントンのブラウン家(外観)は、ロンドンの超高級住宅街カムデンのプリムローズヒルで撮影されました。

アランデルガーデンもそうですが、家賃が死ぬほど高いエリアですので、ブラウン夫妻はああみえて、かなりのお金持ちであることが推察できます。

 

↓何はともあれ、前作を観てから『2』がいいでしょうね。

↓こちらが原作。小学校低学年から楽しめると思います。