[単為生殖と処女懐胎と「かぐや」と]
(Wikipedia)
キリスト教の聖典である新約聖書によると、救世主イエス・キリストは聖母
マリアから処女懐胎によって誕生したという。
他の神話などでも、単為生殖を思わせる説話がある。
歴史的な事項としては、人類が単為生殖をしたと主張する例は多数あるが、
ヒトを含む哺乳類にはゲノムインプリンティングがあるために、雄ゲノムと
雌ゲノムの両方が必要であり、どちらか片方のゲノムしかない単為生殖には
否定的な実験結果が出ていた。
しかし、2004年に独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構生物系
特定産業技術研究支援センターと東京農業大学(応用生物科学部・河野友宏
教授)の共同研究により、特定の遺伝子が欠損したマウスの未成熟な卵母
細胞の細胞核を卵子に移植することによって、世界で初めて雌ゲノムのみから
なる単為発生マウス「かぐや」の誕生に成功した。
なお、河野教授らが2007年に発表した論文では1つの卵子から生まれる
単為発生との区別を明確にするため「二母性マウス」という言葉が用いられて
いる。
生命の誕生に至らない単為発生であれば、女性の卵巣でもしばしば奇形腫が
生じ、皮膚・毛髪・歯や骨の破片などの塊が摘出されることも珍しくない。
ほぼ完全な人体の形を有する胎児型奇形腫の報告もあるが、非常に稀である。
<奇形腫>
ピノコは、漫画「ブラック・ジャック」のキャラクターである。
患者から切除された奇形腫を利用して作られたという設定である。
<ゲノムインプリンティング(ゲノム刷り込み)>
ゲノムインプリンティング は、遺伝子発現の制御の方法の1つである。
一般に哺乳類は父親と母親から同じ遺伝子を2つ(性染色体の場合は1つ)
受け継ぐが、いくつかの遺伝子については片方の親から受け継いだ遺伝子
のみが発現することが知られている。
このように遺伝子が両親のどちらからもらったか覚えていることをゲノム
インプリンティングという。