[口福学入門:/9 アフタは体調悪化のサイン]
(毎日新聞 2011年10月24日)
口の中が痛くなったり、腫れたりすると歯周病以外をすべて口内炎と思う人が
多いようです。
ところが、白い部分や赤い部分が見られる場合は、白板症などの別の病気が
疑われます。
口腔がんの可能性もありますので注意が必要です。
さて、口内炎は歯肉とそのほかの口腔内に炎症が広がっている症状を指し
ます。
炎症ですから、痛み、赤み、腫れが特徴で原因も推測できます。
典型的な口内炎は、「アフタ」と呼ばれ、直径2~10ミリの黄白色の円形の
小潰瘍とその周囲の赤い帯状の部分から成ります。
アフタの出来始めはとても痛く、食事や話ができず、集中力も低下します。
周囲の人には口の中のトラブルなど全く見えませんので、大きなストレスに
なります。
残念ながらはっきりした原因は分かりませんが、健康状態が関係している
ことは間違いありません。
繰り返しアフタができる方はよくご存じかもしれませんが、疲れがたまったり
寝不足が続いたり、風邪や下痢の後など体調不良になると出やすいようです。
さらに、ビタミン不足やホルモンバランスの影響もあり、女性に多くみられ
ます。
生理のたびに繰り返すため、生理の際の1つの症状とあきらめている方もいる
ようです。
アフタの発生は、全身的な問題だけでなく、口の中に原因が見られる場合が
あります。
虫歯で欠けた歯、治療した金属が壊れた歯、ぐらぐらしている歯、不安定な
義歯などです。
これらは舌やほおの粘膜を傷つけ、持続した刺激では深い潰瘍を作ります。
そこまでひどくならなくてもアフタを作るきっかけになります。
また、歯のすき間の食片を舌で取り除く癖も、粘膜に刺激を与えるので要注意
です。
口腔粘膜用軟こうは痛みを早く取り、症状を和らげます。
また、口の中を清潔に保てば1週間ほどで治ります。
ただし、体調が悪いサインであることは心に留めてください。
繰り返しアフタができる病気には、自己免疫疾患のべーチェット病があり
ます。
まれな病気ですが、外陰部の潰瘍や、目や皮膚の症状が同時に起こります。
アフタを繰り返す方はチェックが必要です。
(山根源之東京歯科大名誉教授)
http://mainichi.jp/life/health/medical/kouhukugaku/news/20111024ddm013100021000c.html