[緊張状態で始まる「空せき」 解消できなければ心療内科的な治療が必要]
(ZAKZAK 2014年04月09日)(今日のストレス 明日の病気)
「あがり症」の人にとって、人前でのスピーチほどつらいものはない。
しかし、役職が上がれば、どうしてもその機会は増えてくる。
そんな緊張状態で始まる「空せき」。
ただでさえつっかえつっかえのスピーチにせきが混ざるから、何を言っている
のかわからない・・・。
Kさん(38)は昨年から部門のマネジャーに昇格した。
日本的にいえば「課長」だ。
部下は10人。
小なりといえども管理職となり、意気揚々のはずだったのだが、出足から
つまずいた。
昇進直後に部下が結婚し、披露宴で乾杯の音頭を取ることになったのだ。
しかし、人前で話すのが大の苦手なKさん。
開会前からせきが止まらなくなった。
水を飲んでもむせてしまい、テーブルは水だらけ。
わずか1分ほどのスピーチもせきがひどくて収拾がつかず、乾杯用に持って
いたグラスからこぼれたビールでマイクの周りはビチャビチャだ。
以来、前にもましてスピーチ嫌いになったKさんだが、今年中に結婚を予定
する部下が4人もいる。
それを考えただけでせきが出る-。
「心因性の咳嗽ですね」と語るのは、JCHO大阪病院内科医の鈴木夕子医師。
ストレスが引き起こすせきなので、病院で検査をしても明らかな異常は
見つからない。
しかし、見つける手掛かりはあると鈴木医師は言う。
「起きているとき、特に仕事中にせきが止まらなくなるものの、夜間や就寝中
には止まるのが特徴。気管支炎や肺炎であれば、夜間でも就寝中でも関係なく
せきが出るので、ここが重要なポイント。加えてストレス性のせきは、
乾いた“空せき”なので、たんを伴うCOPD(慢性閉塞性肺疾患)とも区別が
つきやすい」(鈴木医師)
対策は「原因となっているストレスを取り除くことに限る」というから、
これが1番難しい。
ストレス発散がうまくいかない場合は、心療内科的な治療が必要になることも
あり、Kさんもその公算が大きそうだ。
「6月には結婚式が2回もあるんです」と、せき込みながらも器用にため息を
つくKさん。そんな上司にスピーチを頼まなければならない部下たちの
ストレスは、大丈夫だろうか・・・。
(長田昭二)
http://www.zakzak.co.jp/health/disease/news/20140408/dss1404081756000-n1.htm