[台所のスポンジ 殺菌処理をするほど強い細菌を増加させる可能性]
(GIGAZINE/ギガジン 2017年8月2日)
食器を洗う台所のスポンジは細菌が増殖しやすいため、電子レンジやお湯で
熱して除菌するという方法がしばしばとられます。
しかし、最新の研究では、加熱して除菌したスポンジも、そうでない
スポンジも、菌の繁殖具合にほとんど違いがないどころか、除菌した
スポンジは病気と関連性のある細菌の割合が多い傾向があると発表され
ました。
研究は、ドイツにあるフルトヴァンゲン大学の研究者マルクス・エガート
教授らによって行われたもの。
研究者チームはドイツの一般家庭で実際に使われている食器洗い用スポンジ
14個を集め、DNAシークエンシングを行うための遺伝子物質を採取し、
スポンジにどのような細菌が存在するのかを調べました。
そして、調査時点で活動状態にあり繁殖している最中の細菌に印をつけ、
3Dレーザースキャン顕微鏡で目に見える状態にしました。
DNAシークエンシングの結果、9門、17綱、35目、73科、118属の細菌が
発見されたとのこと。
細菌の内訳としては、モラクセラ科の細菌が最も多く、サンプル全体の36%を
占めていました。
モラクセラ科の細菌は人間の皮膚に存在し、スポンジで掃除されることの多い
キッチンカウンターや冷蔵庫の中、蛇口、ストーブなど台所のいたるところで
見られます。
衣服にも付着するので、洗濯機からもよく見つかります。
そのほか、プロテオバクテリアやバクテロイデス門、放線菌なども見つかった
と研究者らは報告しています。
また、スポンジを占める細菌のトップ10位のうち5つは、病気と関連性のある
細菌だったとのこと。
研究者らによると、スポンジ1立方センチメートルあたりに存在する細菌
細胞の数は250億~540億ほど。
スポンジの所持者の中には「電子レンジにかける」「熱湯につける」などして
定期的にスポンジを除菌している人もいましたが、それらの人のスポンジと、
他の人のスポンジの菌の多さは変わりなく、それどころか病気と関連性のある
菌が多くすらあったとのこと。
研究者らは、この傾向について「おそらく、殺菌処理で生き残った抵抗力の
あるバクテリアはすぐにコロニーを作り始め、殺菌処理が始まる前と同じ
ような状態にするのでしょう」と語っており、殺菌処理をするほど、より強い
細菌がスピーディに増えていくことが記されています。
「長期的な目で見て、スポンジを衛生的に保とうとする試みは細菌を減らす
ための大きな効果を発揮しないどころか、病気と関係のある細菌の割合を増加
させる可能性があります。それゆえに、台所のスポンジを週ベースで定期的に
交換することを我々は支持します」とのことで、食器用スポンジが菌の培養器
として機能しているという認識を持つよう、研究者らは呼びかけています。
http://news.livedoor.com/article/detail/13418255/