魚に含まれる水銀がALSの一因か | アクティブエイジング アンチエイジング

[魚に含まれる水銀がALSの一因か]

(HealthDay News  2017年2月20日)


水銀を高い濃度で含有する魚を食べると、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の
発症リスクが上昇する可能性のあることが、予備的な研究で示された。
ただし、今回の報告はメカジキやサメなどの水銀を多く含む魚の有害性を
警告するものであり、魚介類全般によるALSリスクの上昇を示唆するものでは
ない。


研究著者である米ダートマス大学医学部(ニューハンプシャー州)のElijah
Stommel氏は、「多くの場合、魚を食べることは健康的な食生活の一環と
なるが、魚に含まれる水銀の影響については疑問が残る。水銀は環境中に
もとから存在する有毒な金属だ。水銀の少ない魚には健康面で多くの便益が
あると思われるが、魚の種類に注意を払う必要がある」と指摘している。


ALSは治療法のない神経変性疾患で、ルー・ゲーリック病とも呼ばれる。
最初は筋力低下や筋攣縮がみられることが多く、最終的には全身が麻痺して
死に至る。

米国ALS協会によると、米国では年間6,000人強がALSと診断される。
原因は不明だが、一部の研究では水銀が危険因子の1つとされている。
米国人が水銀に曝露する主な経路は魚の摂取だと、研究グループは指摘する。


今回の研究では、ALS患者294人とALSでない224人を対象に、魚介類の
摂取量を尋ね、その魚介類を買ったか自分で獲ったかも確認した。
それをもとに対象者の年間の水銀摂取量を推定し、足の爪の水銀含有量も
調べた。

その結果、ALS患者では61%が水銀摂取量で上位25%に属していたのに
対して、ALSでない人では44%であった。
日常的に魚介類を食べている人のなかで、水銀摂取量が上位25%の群では
ALSリスクが2倍であり、足の爪と食事内容に基づく水銀値の高い群でも
ALSリスクが2倍であった。


米国食品医薬品局(FDA)は、小児や出産適齢期の女性はサケ、タラ、イワシ
などの栄養価が高く水銀濃度の低い魚を週2~3回食べることを推奨して
おり、サメ、マカジキ、メカジキなどは水銀濃度が高いため避けるよう勧めて
いる。


今回の研究結果は、4月22~28日に開催される米国神経学会(AAN)
年次集会で発表される予定。
なお、学会発表された研究は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的な
ものとみなす必要がある。

 




http://healthdayjapan.com/2017/02/27/15335/