クローン病と潰瘍性大腸炎:酒さ、テトラサイクリン系との関連 | アクティブエイジング アンチエイジング

[下痢が続く難病、炎症性腸疾患の危険性を増やす要素とは?]

((MEDLEY  2015年11月12日)


<10万人のデータ解析から>
炎症性腸疾患(クローン病と潰瘍性大腸炎)は、免疫の異常によって起こると
言われていますが、正確な原因はわかっていません。
患者のデータの解析から、炎症性腸疾患の発症が多い人の要因を調べる研究が
行われました。



<酒さ、テトラサイクリン系抗菌薬との関連を検証>
この研究は、炎症性腸疾患にともなって指摘されることがある、「酒さ」と
いう皮膚の炎症による症状と、テトラサイクリン系抗菌薬(抗生物質)の
使用に注目しました。

アメリカで行われた追跡調査の結果のデータを使い、96,314人の対象者の
うちで、酒さがあるかどうか、またテトラサイクリン系抗菌薬を一度でも使
ったことがあるかどうかと、その後の炎症性腸疾患の関連を解析しました。

 

<酒さでクローン病増加、テトラサイクリン系抗菌薬でも>
次の結果が得られました。

酒さは潰瘍性大腸炎のリスクと関連しなかった。
対して、酒さは以後のクローン病のリスク増加と有意に関連し(ハザード比
2.20、95%信頼区間1.15-4.18)、特に診断から長期間を経た酒さで関連が
強く見えた(Ptrend=0.01)。

テトラサイクリンの使用はクローン病(ハザード比1.56、95%信頼区間
1.09-2.24)および潰瘍性大腸炎(ハザード比1.34、95%信頼区間1.00-1.80)
のリスク増加と関連した。


酒さがあった人では、その後のクローン病の発症が多くなっていました。
テトラサイクリン系抗菌薬を使ったことがある人は、クローン病、潰瘍性
大腸炎がともに多くなっていました。

 

この研究の方法では、酒さやテトラサイクリン系抗菌薬が炎症性腸疾患の
原因かどうかは断定できません。
炎症性腸疾患に至る手前の段階で酒さや感染症が起こっていたなどの可能性も
あわせて検討する必要があります。


ここで見られた関連を説明する観点が、炎症性腸疾患の原因解明や予防に
向けた新しい研究につながるかもしれません。



http://medley.life/news/item/5642fa18f35ec55301416c81