病変がないのに灼熱感や痛み「口腔灼熱症候群」 | アクティブエイジング アンチエイジング

[病変がないのに灼熱感や痛み「口腔灼熱症候群」]

(ZAKZAK  2010年09月06日)


<口腔乾燥、カビ菌など症状の原因の鑑別が重要>
あきらかな病変がないのに舌など口の中に焼けるような灼熱感、ピリピリや
ヒリヒリした痛みを感じるといった病気の総称だ。
ひどい場合には食事が取りにくくなるケースもある。
医療機関で症状の原因を鑑別することが重要だ。



<口腔乾燥が引き金になることも>
灼熱感や痛みの多くは舌の先端や片側、唇の内側など、よく動かす部位に
現れる。
ところが口腔検査では病的状態がみられないのがほとんどだ。

歯科治療後に症状が現れることも少なくなく、その場合には治療後の歯が
当たっているケースも考えられる。
しかし、コンパスデンタルクリニックの三幣利克院長は「必ずしも、それだけ
とは限らない」と、こう話す。
「歯科治療後は口の中が気になり、舌や口腔の運動が増加して症状が現れる
場合がある。とくに義歯を入れると違和感から唾液量が減少する」
このようなケースでは「口腔乾燥(ドライマウス)」が引き金になっていると
いう。



<心配性、神経質な人が感じやすい>
他の原因には、口腔内の常在菌であるカビ菌が異常繁殖して炎症を引き起こす
「カンジダ症」、鉄欠乏性貧血や悪性貧血などの「全身疾患」、口腔乾燥を
誘発させる高血圧の薬や抗うつ剤などの「薬の副作用」、また脳の神経伝達
回路の誤作動が疑われている「舌痛症」などが考えられる。

臨床的には心配性の人、神経質の人に起こりやすい傾向がある。
が、三幣院長は「心が先でなく、まず先に痛みがあって精神的な気質が症状の
増長に関係する」という。

灼熱感や痛みの程度や感じ方には人によってかなり幅があり、周期的に悪化と
緩和を繰り返す傾向がみられるという。



<痛みのシグナルを早めに鑑別>
いずれにしても痛みが強ければ摂食障害を起こす場合がある。
歯が口腔粘膜に接触していれば、いずれがん化の恐れも。
全身疾患が原因ならば放置は悪化につながる。
「舌や口腔内の痛みは病気のシグナルととらえて、早めに医療機関で原因を
鑑別することが重要」(三幣院長)だ。

まず歯科や口腔外科で歯の接触はないか、ドライマウス、カンジタ症などの
感染症の疑い、基礎疾患や薬の副作用の影響を調べてもらおう。

三幣院長は「鑑別では舌に表面麻酔を置いて舌表面の痛みかどうか確認する。
それでも痛みを感じるなら舌痛症の可能性がある」と話す。

舌痛症の場合には心療内科や心療歯科が診療科になる。
治療では三環系の抗うつ薬が使われ、副作用が出やすいので必ず専門医を受診
しよう。



<「口腔灼熱症候群」チェックリスト>
・舌など口の中に灼熱感や持続する痛みがある
・灼熱感や痛みは舌の先端や片側に起きている
・唇の内側に灼熱感や痛みがある
・香辛料、熱い飲料、炭酸飲料、濃いお茶やコーヒーなどで
                        口の中や舌の痛みが増す
・咀しゃくすると口の中や舌の痛みが増す
・歯科治療後に口の中の症状が現われるようになった
・持病の薬の服用を始めてから口の中の症状が現れた