[骨粗しょう症があると突発性難聴リスクが約1.8倍に!]
(MEDLEY 2015年5月13日)
<台湾での大規模解析から>
骨粗しょう症は骨が脆くなる病気で、女性ホルモン(エストロゲン)が低下
する閉経後の女性に多く見られます。
骨折リスクが増加するため高齢化が進んだ現在では大きな問題のひとつ
ですが、今回、台湾の研究グループが、骨粗しょう症があると、突発性感音性
難聴のリスクが1.76倍にまで高くなると報告しました。
<全民健保のデータベースを利用>
著者らは、台湾の患者についての大規模なデータベースから情報を取得して
解析しました。
台湾では1995年3月から全民健保という強制社会保険プログラムが、
全台湾民を対象に組まれています。
これは日本の健康保険制度と似ていますが、単一支払者制度であり衛生福利部
中央健康保健署によって一元管理されています。
このプログラムによって作られたデータベースが、この研究で参照され
ました。
<台湾で約42,000人を追跡調査>
著者らは、以下の解析を行いました。
全民健保加入者から100万人を無作為抽出し、そのうち1998年〜2008年の
間に骨粗しょう症と診断された10,660人の患者と、この期間に骨粗しょう症と
診断されなかった31,980人データを比較した。
全患者はSSNHLと診断されるか死亡するか、どちらも無い場合は2011年末
まで追跡された。
<骨粗しょう症患者では1.76倍突発性難聴を発症しやすい>
解析の結果、次のことがわかりました。
骨粗しょう症患者は骨粗しょう症がない人と比べて1.76倍SSNHLになる
リスクがあった。
また50〜64歳では1.5倍、65歳以上では2.33倍、女性は1.87倍、高血圧の
患者は1.59倍、対照群に比べて発生率が大きかった。
この結果はどのように解釈できるでしょうか。
耳の構造として耳小骨と呼ばれる骨が音の増幅器の働きを担い、鼓膜の振動を
約3倍にして内耳に伝えます。
この仕組みと骨粗しょう症が関係しているのかもしれません。
また、骨粗しょう症は女性ホルモン(エストロゲン)の低下と関連するので、
もしかしたら女性ホルモンの減少と関連があるのかも知れません。
突発性難聴は原因不明で確立した治療法もなく、多くの患者さんを悩ませて
いる病気です。
この報告が病気の治療や予防に繋がることを期待したいですね。
(高田)
https://medley.life/news/item/5550cf4be7880cfb00703034