抗菌ハンドソープよりも大事なこと | アクティブエイジング アンチエイジング

[抗菌ハンドソープよりも大事なこと]

 

(家庭の医学 2017年3月3日)

 


<石けんの違いより手洗いをしっかり確実に>
手洗い用の石けんはどんなタイプを使っていますか。
固形、泡タイプ、液体のほか、香り重視などいろいろな種類のものが市販
されています。
抗菌作用をうたったものも多くなり目立ちます。

 

この抗菌性のハンドソープがアメリカで販売が禁止されると発表があり
ました。

 

 

アメリカ食品衛生局(FDA)は一般向けに市販されている抗菌作用のある
ハンドソープやボディーソープのうち、トリクロサンやトリクロカルバンなど
19種類の殺菌剤を使ったハンドソープを販売禁止にすると発表しました。

 

販売禁止の理由として、これらの殺菌剤を含む製品を検証した結果、殺菌剤を
含まない通常の石けんと比較しても、より有効であるという科学的根拠が
見つからなかったこと。
また、これらの殺菌剤を常用することで耐性菌が増えてしまう心配がある
ことがあげられています。

 


禁止された殺菌剤のうちトリクロサンには、成長ホルモンの働きを阻害して、
甲状腺や生殖機能の成長などに影響を与える可能性があるという研究報告も
あるそうです。

 


現在日本で承認されている薬用石けん類は約800品目ありますが、実際に流通
されているのは50~100種類ほど。


禁止された19種の成分のうち、最も使用されているのがトリクロサンと
トリクロカルバンの2種類です。

 

FDAの発表を受けて、厚生労働省ではこれらの薬用成分が含まれている薬用
石けん、薬用ハンドソープ、薬用ボディーソープ、薬用洗顔料などを製造
している日本国内のメーカーに対して、使用成分を変更するよう要請、すでに
代替成分への切り替えが始まっています。

 


日本で初めて抗菌作用があるとした薬用石けんにはトリクロカルバンが配合
されていますが、発売されて以来健康被害の報告は出ていません。
メーカーは該当成分の切り替えを決定するとともに、今使っている石けんが
切り替え前のものだとしても、特に問題はないとしています。

 

 

 

抗菌作用の有る無しより大切なのは、日ごろから石けんでの手洗いとうがいを
確実に続けることです。
それが感染症予防の基本中の基本となるのです。
まず、腕時計、指輪などは外し、よく泡立てた石けんを隅々まで行き渡らせ
ます。
指の間、手首などは特に念入りにこすり合わせましょう。
指の先、爪の間は反対側の手のひらにこすりつけるようにします。
すすぐときは流水で、石けん成分がなくなるまでよく洗い流し、清潔な乾いた
タオルで水分をよくふき取りましょう。
もちろん爪は切っておくことも大切です。
こういう手洗いは、丁寧に行えば、普通の石けんで十分です。

 

 

 


(監修:関東中央病院 皮膚科特別顧問 日野治子)

 

 

 

 

http://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/124255/