[知らなかったでは済まされない! 健診ではわからない「隠れ貧血」]
(マイナビスチューデント 2015年11月20日)
健康のために運動をしているのに、何となく体調がいまいちという人は
いませんか?
あるいは、アイスクリームが大好きで季節を問わず毎日でも食べたいとか、
飲み物に入っている氷をガリガリかじりたくなるとか・・・
もしあなたがそうだとしたら、貧血の可能性があります。
「ヘモグロビンの値が正常だから私は大丈夫」と思っている人でも安心は
できません。というのも、一般的な健康診断では貧血(鉄分不足)かどうかを
正確に把握することができないからです。
いったいどういうことなのでしょうか?
貧血の主な原因は血液中の鉄分が不足することです。
血液中の鉄分は出血などで不足すると、「フェリチン」といって、体内に貯蔵
されている鉄分から補われる仕組みになっています。
そのため、血液中の鉄分がフェリチンで補われている状態であれば、健診を
してもヘモグロビンは正常値を示します。
ヘモグロビンの鉄は、生命活動の維持に欠かせない重大な働きがあるため、
鉄分が体内にとり入れられると、フェリチンよりもヘモグロビンに優先的に
使われます。
つまり、健診でヘモグロビン不足という結果だった人は、貧血はもちろん、
体内に貯蔵されている鉄分(フェリチン)自体が不足している深刻な状態だと
考えられるのです。
貧血は、めまいや立ちくらみ、疲労感、冷えといった体の不調をはじめ、
爪が割れたり、目の下にクマができたり、肌ツヤが悪くなったり、髪の毛が
抜けやすくなったりと、美容面にも悪影響を及ぼします。
ちなみに、鉄分が不足すると舌の温度が上昇し、アイスや氷を食べたくなると
いうこともおこります。
貧血ではなくても、フェリチンの鉄不足でも不調をきたすことがあります。
新陳代謝がスムーズにいかなくなったり、免疫細胞の数が減ったり、幸せ
ホルモンとも呼ばれる「セロトニン」や「ドーパミン」などの神経伝達物質が
不足して、その結果、肌荒れや疲労感のほか、イライラ、うつ、睡眠障害に
悩まされることがあるのです。
ある調査によれば、11~90歳の女性の3000人を対象に調べたところ、
半数もの女性がフェリチン不足だったというショッキングな報告もあります。
いまのところ、フェリチンについては、通常の健康診断ではほとんど検査は
行われていませんが、気になる人は、アンチエイジング外来などで(保険
適用外)検査できます。
女性に貧血(鉄分不足)が多いのは月経のせいということもありますが、
ダイエットによる誤った食事制限のほか、運動が影響していることもあるよう
です。
実際、マラソンやランニングをしている女性には、筋肉量は多いのに鉄分の
値がかなり低いという人が少なくないそうです。
これは、発汗によって鉄分を含むミネラル成分が流出してしまうことが大きな
原因なのだとか。
鉄分不足を解消するには、やはり食生活に気を付けることが第一。
鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類あり、貧血対策には吸収率のいい
ヘム鉄を積極的に摂ることが大切です。
ヘム鉄は、レバー、あさり、かつお、ぶり、まぐろなどの動物性の食品に多く
含まれています。
大豆製品、ひじき、ほうれん草など、海藻や植物性食品に含まれる非ヘム鉄は
吸収率が低いので、吸収率をアップさせるため、ビタミンCと合わせて摂取
するようにしましょう。
また、コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶などに含まれる「タンニン」は
鉄分の吸収を妨げてしまうので飲み過ぎは禁物です。
鉄分吸収という点からいえば、それより果物がおすすめです。
いかがでしたか。女性のみなさんはとくに、鉄分をしっかり補給して、
クオリティの高い生活を送りましょう!
(文・鈴木ゆかり)
http://news.ameba.jp/20151120-673/