心因性味覚障害:交感神経が高まるとドライマウス状態に | アクティブエイジング アンチエイジング

[味覚障害 交感神経が高まるとドライマウス状態に]

(ZAKZAK 2010年3月30日)


<舌の表面が乾き、味覚は感知しにくくなる>
ストレスの元は会社ばかりとは限らない。
時に身内に潜んでいることも。
Yさん(34)のストレスは「義父」。
毎晩のようにやって来る妻のパパのために、彼は会社から帰るとストレスに
支配される。
そして「味覚障害」という意外な症状を背負うことになったのだ。

妻の実家の近くに住むという約束で結婚したYさんだが、妻のパパの介入には
お手上げだ。
夜な夜なプリンやらイチゴやら、完全に娘寄りの手土産持参でやって来て、
深夜まで居座る。
妻とパパがソファに並んでイチゴを食べて、Yさんは1人食卓で焼酎を飲む。
当然面白いわけがない。

そんなある日のこと。
その日もパパが買ってきたうまくもないおでんをつまみに焼酎を飲んでいたの
だが、本当にうまくない。
なんだか味が薄いのだ。
おでんだけでなく焼酎も薄味だ。
ためしにロックで飲んでみたが変わらない。
結局それ以来、何を食べても薄味になってしまったのだ。


「心因性味覚障害と思われます。ストレスで唾液が出にくくなることに
加えて、軽度のうつ病からも起こりやすい」と語るのは、東京・渋谷区にある
片平歯科医院の片平治人院長。
そのメカニズムはこうだ。

「ストレスで交感神経が異常に高まるとドライマウスの状態になりやすい。
この状態で食事をすると、本来唾液によって引き出される食べ物の味物質が
溶け出てこない上、舌の表面も乾いているため味覚を感知しにくくなる。
これが続くと、単に味がわからないだけでなく、口の中で菌が増殖しやすく
なり、歯周病などのリスクも高まります」


唾液不足対策は口腔用の保湿剤の使用、口腔筋機能訓練(舌や唇の
トレーニング)、唾液腺マッサージによる唾液の分泌促進など。
いずれも対症療法に過ぎず、根本的解決にはストレスをなくすしかない。


そんなYさんの悩みも知らず、今夜はよりによってカステラなんか持って
パパはやって来た。
焼酎片手にカステラを食べるYさんに「そんな食べ方してうまいのか?」と
パパ。
うまいわけはないが、まずくもない。
ただただ薄味なだけだ。

 


(長田昭二)

 

 

http://www.zakzak.co.jp/health/disease/news/20100330/dss1003301606000-n2.htm