[歯が多く残っている人は医療費があまりかからない]
(産経新聞 2010年2月26日)
<口腔ケアでクリーンな毎日 円滑な会話と肺炎予防にも有効>
高齢になっても歯が多く残っている人は医療費があまりかからないことが、
平成16年の兵庫県歯科医師会で報告されている。
昨年の日本老年歯科医学会では、介護老人福祉施設での口腔ケア・マネジ
メントは、肺炎予防に有効であることが発表された。
あなたの周りに口臭のきつーい人、いません?
口臭は、会話の妨げになるばかりではなく、肺炎の原因となってしまうことも
ある。
食べる、かむ、しゃべる、息をする・・・。
口の機能は多岐にわたるため、口は雑菌の温床となる危険性があり、特に歯は
雑菌の“すみかになりやすい。
口の中を清潔に保つ口腔ケアを日ごろから心がけたい。
(小林忍)
「今はCURE(キュア:治療)からCARE(ケア:予防)の時代です。治せる
ことには限界があるんですよ」東北大学大学院歯学研究科の濱田泰三教授
(口腔ケア推進開発講座)は力説する。
濱田教授によると、歯(入れ歯やクラウン=かぶせ歯=を含む)には、炎症を
引き起こすカンジダ菌がすみ着きやすく、この菌が付着した物を飲み込み、
誤って肺に入ってしまうと肺炎を引き起こしてしまうこともあるという。
また、胃潰瘍、胃がんの原因の1つとされるヘリコバクター・ピロリ菌も
入れ歯をすみかに選ぶという。
その他、痛みが激しく食事をするのが辛い口内炎、会話やコミュニケーション
を阻害する口臭などは、口腔の機能が低下することによる雑菌の繁殖が原因と
思われる症状だ。
「生活環境の変化による現代病の1つでしょう。よく噛まないから、きれいな
アーチ型の歯ではない乱杭歯(八重歯)が増え、唾液の量が減って食べかすが
残り、その結果、雑菌が増えてしまいます。歯磨きだけでは十分ではありま
せんよ。普段から、うがいなどで口の中をきれいにしたり、歯間ブラシなどで
食べかすを取り除くことが大切です」と濱田教授。
そのうえで、「特に入れ歯の人は、念のために入れ歯洗浄剤を使ってほしい。
これで雑菌はかなり落とせます。入れ歯がなくても私は月に1回、歯医者で
歯の手入れをやってもらっているんですよ」と話す。
日本口腔ケア学会では、口腔環境を整えることによる効果について、
(1)(物を)おいしく食べられる
(2)コミュニケーションの円滑化(口臭の除去)
(3)誤嚥性肺炎の予防(唾液や食べ物が誤って肺に入ってしまう)
(4)爽快感
などを挙げる。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/100226/bdy1002260654002-n1.htm