[納豆で遅発性アレルギー なぜか多い海との接点]
(産経新聞 2016年6月7日)
発酵食品の納豆は、食べて半日もたってから全身に症状が出る、珍しい
アレルギーを起こすことがある。
横浜市立大の猪又直子准教授(皮膚科)は「数は少ないが症状は重い傾向
がある。突然原因不明のアレルギー症状が出たら、納豆も疑って」と話して
いる。
猪又准教授によると、納豆アレルギーの原因(アレルゲン)は
「ポリグルタミン酸」(PGA)と呼ばれるネバネバの主成分。
粘りやしっとり感を増すなどの性質が注目され、食品や化粧品などにも
添加される。
食物アレルギーは通常、食べて2時間以内に症状が出るが、納豆では
5~14時間後と遅発性だ。
PGAは大きな分子で、腸内での分解に時間がかかるためらしい。
症状は、呼吸困難やじんましんなど「アナフィラキシー」と呼ばれる全身性の
ものが多い。
体がPGAに過剰に反応するようになり発症するが、きっかけは完全に解明
されていない。
猪又准教授らは、なぜか患者に多い、海との接点に注目する。
横浜市立大で詳しく分析できた患者17人のうち、14人(82%)は
サーフィンやダイビングなど海のスポーツの愛好者。
その上、患者の一人は中華クラゲを食べてアレルギーを起こした。
クラゲの体内にもPGAがあることから、猪又准教授は「海でクラゲに刺された
ことが原因になった可能性は否定できない。ただ、現時点ではあくまで仮説」
とし、さらに患者の調査を進めている。
http://www.sankei.com/life/news/160607/lif1606070012-n1.html