[赤ちゃんには大人とは異なる“免疫システム”が備わっていた]
(IRORIO 2014年09月27日)
私たち人間の免疫は、種類の異なるいくつかの免疫細胞によって成り立って
いる。
例えば、白血球の一種である好中球は細菌などから身体を防御する役割を
持つ。
そうした免疫について、赤ちゃんのものはまだ未熟で、大人の免疫ほどには
機能しないと考えられてきた。
しかし、我々が思う以上に赤ちゃんの免疫は強いかもしれない。
<T細胞が大人のものと異なる>
イギリスのキングスカレッジ・ロンドンの研究チームが、未熟な状態で
生まれた新生児28人の血液を調べたところ、リンパ球の一種T細胞が大人の
ものとは大きく異なることを発見した。
研究によると、赤ちゃんのT細胞は抗菌性分子をつくっているのだという。
これはこれまでの考えを覆すもので、しかも抗菌性分子が好中球を刺激して
体内に侵入した細菌などを攻撃することがわかった。
<胎内でも感染予防機能?>
つまり、この世に出てきたばかりで細菌などに無防備と思われている
赤ちゃんに、バイ菌を攻撃するシステムがきちんと備わっていて、
思う以上に”たくましい”かもしれないとのこと。
今回の発見について、研究著者のDeena GibbonsDeena Gibbons博士は
「赤ちゃんの体内には大人のものとは異なる免疫システムがあり、しかも
きちんと機能していることがわかった。
おそらくこの免疫システムは、胎内でも感染予防機能を果たしているのでは」
と話す。
研究チームは今後、なぜ赤ちゃんと大人で免疫システムが異なるのかを調査
するとしている。
その違いを明らかにしつつT細胞を研究することで、免疫を高める治療に
つながることが期待される。
免疫を高められれば、集中治療室で過ごさざるを得ない赤ちゃんを感染症から
守ることにつながるという。
研究結果は専門誌「Nature Medicine」に掲載された。
http://irorio.jp/karenmatsushima/20140927/164254/