[ジカ熱、米大陸全域に拡大の恐れ WHO警鐘]
(AFPBB News 2016年1月26日)
【AFP=時事】
蚊が媒介し、妊婦が感染すると胎児に深刻な先天異常を引き起こす恐れが指摘
されているジカウイルスについて、世界保健機関(WHO)は24日、カナダと
チリ以外の南北米大陸全域に広がる見通しだとする声明を発表した。
ジカウイルスは、感染しても大半の人はインフルエンザのような症状を
短期間にわたり経験するのみで終わる。
妊婦が感染すると、胎児に頭部が異常に小さくなる小頭症という病気を
もたらす可能性が指摘されているが、その因果関係はまだ立証されていない。
WHOの声明によると、このウイルスは米大陸の55か国・地域のうち21で
すでに存在している。
またジカウイルスは、デング熱やチクングンヤ熱のウイルスも媒介する蚊の
一種「ネッタイシマカ」を通じて感染が広がるが、WHOはこの種が米大陸の
うちカナダとチリを除く全域に生息していることを強調している。
米大陸ではこれまでジカ熱流行の経験がなく、昨年5月にブラジルで確認
されるまでは人々のウイルスに対する免疫がなかったことも、ウイルスの
急速な拡散の原因になったとされる。
そのためWHOは、「ジカウイルスは今後も広がり続け、両大陸の中で
ネッタイシマカが生息するあらゆる国と地域に到達する可能性が高い」と
警鐘を鳴らしている。
<性感染の可能性も?>
ブラジルを中心とした中南米で感染例が急増していることを受けて、米国など
一部の国の政府は妊娠中の女性に対し、同域への渡航を自粛するよう勧告を
出した。
今年8月5日から夏季五輪の開催を控えているブラジルにとっては、憂慮
すべき事態だ。
同国での小頭症の症例はかつて年間160件程度だったが、北東部での急増が
指摘され始めた昨年10月以降、すでに3893例が報告されている。
コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ジャマイカの4か国は、自国の
女性らに対し、妊娠自体避けるよう呼び掛けている。
これについてはブラジルでも、保健当局者の中には賛意を示す者もいる
ものの、国の公式見解としては女性たちに蚊に刺されないよう注意を喚起
するにとどまっている。
WHOは、ジカウイルスがネッタイシマカによって媒介されていることは
確認されているが、その他の感染経路を示す証拠は限られているとしている。
その一方で、血液感染する恐れもあり、ヒトの精液からも検出されている上、
「性交渉によりヒトからヒトへ感染した可能性を示す事例も1件ある」と
述べている。
ただし、ウイルスが性感染すると結論付けるには、より多くの証拠が必要だと
いう。
http://news.livedoor.com/article/detail/11106387/