[側頭動脈炎]
(USJAPANMED)(Lighthouse San Diego 2008年4月16日)
<症状>頭痛、頭皮の過敏性、視力障害、顎関節症状
60歳の女性Sさんは、最近「偏頭痛」が始まり、頭皮もひりひり過敏に
なり、頭が枕に触れるだけでも痛みが起こるようになりました。
また、目もかすみ、食べ物を噛む時に顎も痛くなってきました。
市販の抗炎症鎮痛薬を服用してようすを見ていましたが、症状は改善
せず、近くの内科医を受診しました。
診察と血液検査の結果、側頭動脈炎を疑われ、ステロイド治療を開始し、
症状は徐々に改善していきました。
側頭動脈炎は、50歳以上の女性に多い病気ですが、50歳以上の人で、
頭痛が新たに始まった人は、側頭動脈炎の可能性を考える必要があり
ます。
治療しないでいると視力を失う可能性もあるので、後述のような症状の
ある場合は、医師に相談してください。
側頭動脈炎は、巨細胞性動脈炎とも呼ばれていますが、首から脳にいく
動脈の炎症と損傷による病気です。
中程度以上のサイズの動脈における炎症と損傷によって起こるのですが、
首の頸動脈から出ている側頭動脈以外にも、他の体の部分の動脈にも
起こることがあります。
原因は不明ですが、免疫学的反応の関与が示唆されています。
この病気は、リウマチ性多発性筋痛という病気と同時に、あるいは、その
後に起こることがあります。
症状は、拍動性の頭痛(側頭部か後頭部、あるいは頭部全体)、頭皮の
過敏性の亢進、複視やかすみなどの眼症状、極度の発汗、発熱、不快感、
顎関節症状、食欲減退、筋肉痛、疲労感、体重減少などです。
歯ぐきからの出血、顔面痛、難聴、関節痛、口内痛、咳、神経痛、眼筋
麻痺などの症状が起こることもあります。
診断は、問診、触診における頭皮の圧痛、動脈の肥厚や減弱した脈の
存在。
血液検査での血沈、CRPなどの上昇で行ないますが、診断のつかない
場合は、動脈組織の一部を取る組織検査をします。
治療は主にステロイドの使用ですが、確定診断がつく前に開始することも
あります。
アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症鎮痛薬も使いますが、病気の進行
そのものを止めることはできません。
ほとんどの人は完治しますが、1~2年続くこともあり、また、再発する
こともあります。
合併症は、視力喪失、眼筋の虚弱、他の体の部分の動脈の損傷、脳梗塞
などです。
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