公共スペースの禁煙で早産と子供の喘息の受診が大幅減少 | アクティブエイジング アンチエイジング
[公共スペースの禁煙で早産と子供の喘息の受診が大幅減少]

(あなたの健康百科  2014年04月22日)


<欧米の研究を解析>
世界的な禁煙の機運を受け、各国で公共のスペースや職場での禁煙を法制化
する動きが出ている。
こうした取り組みは本当に効果があるのか。オランダ・マーストリヒト医療
センターのJasper Been氏らは、欧米諸国の研究結果を解析したところ、
早産と子供の喘息(ぜんそく)で医療機関を受診する数が大幅に減少した
ことが分かったと、3月28 日発行の英医学誌「Lancet」(電子版)に発表
した。



<受動喫煙に関連した死亡の4分の1が子供>
現在、177カ国が世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約(FCTC)に
批准しているが、禁煙法で守られているのは世界人口全体の16%のみ。
世界の子供の4割が日常的に受動喫煙にさらされているという。

一方で、これまでの研究では、禁煙の法制化が大人に与える影響を検討した
ものがほとんどだった。

しかし、受動喫煙に関連した死亡44分の1以上を子供が占めていること
から、禁煙法が子供に与える影響を明らかにする必要があった。

Been氏らは今回、1975~2013年に発表された、公共スペースでの喫煙規制が
子供(12歳以下)の健康に与える影響を検討した研究のうち、2008~2013
年に発表された11件(北米5件、欧州6件)の結果をまとめて解析した。



<施行1年以内でそれぞれ10%減>
その結果、4研究の解析から、禁煙の法制化から1年以内に早産が10.4%減少
していることが判明。
3研究の解析から、同じく喘息での受診も10.1%減少していることが
分かった。
一方、6研究の解析から、低出生体重への影響は認められなかったという。

以上のことから、Been氏は「禁煙法がこうした効果をもたらす仕組みは不明
だが、幼少期の受動喫煙から守ることで、病気が減り、さらには経済的な
損失を軽減できる可能性があることが示された」とコメント。
さらに「この報告は、"たばこのない社会"を国家レベルで実現するという
WHOの推奨を、強く支持するもの」との見解を示している。


米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSara Kalkhoran氏らは、同日
発行の同誌の付随論評(電子版)で「たばこ企業とその支持者、たばこ企業の
助成を受けている団体は、レストランやバー、カジノなどの経済的な損害を
主張し続け、禁煙の法制化に反対してきた。しかし、こうした影響は研究
結果によって一貫して否定されている」と説明した。
その上で、禁煙法やその他のたばこ規制政策が、医療費の削減する即効性の
高い方法であることをあらためて強調。
「単純ではあるが、これほど迅速かつ実質的に健康が向上し、医療費が節減
できる方法は他にない」と述べている。





http://kenko100.jp/articles/140422002930/#