[帯状疱疹発症直後は脳卒中リスクが急上昇]
(HealthDay News 2014年4月3日)
帯状疱疹を発症した人は、数週間以内に脳卒中になるリスクが有意に高い
ことが、英ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(LSHTM)のSinead Langan
氏らの研究で示された。
また、眼の周囲に発疹がみられる場合、リスクは3倍になるという。
ただし、抗ウイルス治療を受けた患者は比較的リスクが低いと、Langan氏は
述べている。
この研究は、「Clinical Infectious Diseases」オンライン版に4月2日掲載
された。
付随論説の共著者の1人で、米コロラド大学医学部助教授のMaria Nagel 氏に
よると、脳卒中における帯状疱疹の影響はあまり知られておらず、今後大きな
問題として浮上してくるはずだという。
帯状疱疹の原因となるのは水痘と同じウイルスで、体内で数十年間休止状態を
維持した後、患者が高齢になると再活性化する。
世界人口の95%以上がこのウイルスに感染しており、85歳までに 50%が発症
するという。
米国では年間約100万人の成人が帯状疱疹を発症すると推定されている。
帯状疱疹ウイルスが脳卒中リスクを増大させる機序として、ウイルスが
血管壁に侵入し、細胞に感染して血管の閉塞または破裂の確率を高める
可能性があるという。
眼の周囲に発疹が出るとリスクが高いのはおそらくその位置のためで、
再活性化したウイルスが脳動脈に直接入り込む経路があるためだと、
Nagel氏は説明。
また、帯状疱疹が炎症を亢進させ、動脈プラークの破裂を引き起こし、
脳卒中を誘発する可能性もある。
今回の研究では、英国内の600を超えるGP(総合診療科、プライマリケア)の
患者情報データベースより帯状疱疹を発症した脳卒中患者6,584人を対象と
し、帯状疱疹発症後の期間と、それ以前の期間の脳卒中発症リスクを比較
した。
その結果、帯状疱疹発症から4週間内では脳卒中発症率が、帯状疱疹発症前の
リスクよりも63%高いことが判明。
その後リスクは徐々に減少し、5~12週後で42%、6カ月後までに23%に低下
した。
このリスクは経口抗ウイルス薬による治療で有意に低減し、治療を受けて
いない患者のリスクは受けた患者のほぼ2倍であった。
米デューク大学(ノースカロライナ州)脳卒中センターのLarry Goldstein氏
は、帯状疱疹発症者は抗ウイルス薬の使用について医師と相談すべきだと
述べている。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、 60歳以上の全成人に帯状疱疹
ワクチンの接種が推奨されており、多くの場合は保険が適用されるという。
「水痘帯状疱疹ウイルスにより脳卒中になる人の3人に1人は発疹が出ない。
ワクチンによってこのような脳卒中を予防することができる」と、Nagel氏は
指摘している。
http://www.healthdayjapan.com/