[HPV起因の口腔がん再発による生存率]
(HealthDay News 2014年2月20日)
ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で口腔がんおよび咽喉がんになった
非喫煙患者は、がんが再発した場合、生存の可能性が高いという研究結果が
報告された。
研究を行った米ジョンズ・ホプキンス大学医学部のCarole Fakhry氏は、
「これまで、口腔がん、咽喉がんが再発した場合、HPVとの関連にかかわらず
予後は一様に不良であると考えられていたが、再発の場合でもHPVの関与が
重要であることがわかった」と述べている。
Fakhry氏らは、化学療法および放射線療法が奏効した末期の口腔がんまたは
咽喉がんの患者200人弱を対象とした。
このうち58%はHPVに起因するがんであり、42%は喫煙またはその他の原因に
よるがんだった。
治療終了からがんの再発までの期間に差はみられず、HPV陽性群で8カ月強、
HPV陰性群では約7カ月だった。
しかし、HPV陽性の患者では再発から2年後に約55%が生存していたのに
対し、HPV陰性の患者では28%だった。
さらに、再発したがんを外科手術で治療できた患者は、HPVによるがんで
あるかどうかにかかわらず、外科手術を受けなかった患者に比較して死亡率が
52%低いことが示された。
この研究は、米アリゾナ州スコッツデールで開催された集学的頭頸部がん
シンポジウムで発表された。
「過去の例からみて、がんが再発した場合、生存率は芳しくないため、覚悟
する必要がある。患者に容易に『手術を受けるべき』とはいえない。しかし
今回の研究では、特にHPV陽性の患者では、外科手術が生存率に有意な
ベネフィットをもたらす可能性が示された」と、Fakhry氏は述べている。
研究グループによると、HPVに起因する口腔・咽喉がんの患者の生存率が
HPV陰性患者より高い理由は不明だが、HPVに起因するがんは比較的悪性度が
低いか、化学療法や放射線療法への反応性に優れる可能性があるという。
咽喉がんや口腔がんは、かつては主に多量の喫煙に関連するものだったが、
現在では性感染性ウイルスであるHPVに起因するものが多い。
米国では口腔がんおよび咽喉がんの約70%がHPV陽性だという。
なお、学会発表されたデータおよび結論は一般に、ピアレビューを受けて
医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
http://www.healthdayjapan.com/