最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学
テーマ:『本当は怖い肩こり~学生寮の悲劇~』
S・Tさん(女性)/46歳(当時) 賄い婦
S・Tさんは、学生寮の食堂で働いて20年。
食事は学生たちと一緒にとるため、いつもカロリー満点。
そのせいか体重は80キロにもなり、40歳を過ぎた頃から肩こりに悩まされて
いました。
甘い物に目がない彼女は、そんなに食べると糖尿病になると周りが心配しても
お構いなしでしたが、ある日突然、手がしびれて皿をひっくり返してしまい、
その後も様々な異変に襲われます。
<症状>
(1)肩こり
(2)手のしびれ
(3)腰の痛み
(4)足のしびれ
(5)全身に力が入らない
<病名>脊柱靱帯骨化症(せきちゅうじんたいこっかしょう)
<なぜ、肩こりから脊柱靱帯骨化症に?>
「脊柱靱帯骨化症」とは、背骨をつなぐ薄い靱帯が、なんらかの理由で骨の
ように硬くなり、厚みを増してしまう病。
その結果、神経を圧迫し、進行すると、最悪の場合、全身麻痺に至ることも
あるのです。
S・Tさんがこの病気になってしまったきっかけは、食生活にありました。
長年に渡って甘いものや脂っこいものを大量に食べた結果、彼女は、ある病の
初期段階になっていたのです。
それは・・・「糖尿病」。
糖尿病は、糖を分解するインスリンが不足してしまう病。
しかし、初期段階では逆に、そのインスリンが大量に分泌されてしまいます。
このインスリンがくせもの。
インスリンには、糖を分解する以外に、骨を作る手助けをする働きがあり
ます。
そのため、大量のインスリンが、S・Tさんの靱帯に影響を及ぼし、骨化を
進めてしまったと考えられるのです。
事実、脊柱靱帯骨化症の患者のうち、実に40%の人が糖尿病を患っているの
です。
S・Tさんの場合、最初の異変は、あの「肩こり」でした。
これは靱帯が固まり、厚みが増したことで、肩につながる神経が圧迫され、
痛み始めたものでした。
そして、手の痺れや腰周辺の痛み、足の痺れなど、様々な症状。
これらもすべて、靱帯のいたるところで、その骨化が進行したために、神経を
圧迫したのが原因。
しかし、彼女は特に気にも留めませんでした。
そう、これがこの病気の落とし穴。
圧迫された神経が、次第に
その状態に対応し馴れてくるため、病を見過ごしてしまう事が多いのです。
そしてあの時、学生とぶつかり転んでしまったことが決定打となりました。
転倒時の衝撃が極限まで圧迫していた神経に、最後の一撃を加えてしまったの
です。
そのため手足に激しい麻痺が起こり、立ち上がることも困難な状態に陥って
しまったS・Tさん。
しかし、幸いなことに、すぐに手術が行われたため、奇跡的に杖をつけば
歩けるまでに回復することができたのです。
「脊柱靱帯骨化症を早期発見するには?」
(1)もしあなたの血糖値が高く、糖尿病の疑いがあるのなら、肩こりや
腰痛、手足のしびれなどの症状に注意することが大切です。
(2)そして、1度病院で検診されることをおすすめします。
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